でもそれでいい。
そうでなくてはきっと生きていけない。
最期を看取れなかった私に これ以上なにかを体験する権利はないのだから。
だれかがあると言っても私の決意固くはかわらない。もう思い出し方さえ忘れてしまった。
ふとカレンダーをみた。
11月の26日今日は日曜日。
明日は登校の日。
出席日数が足りないと心配していたが夏休み冬休み春休みの講習参加でなんとかカバーしてもらえた。
わりと頭はいい方の高校だ。
この高校にきてもう2年もたつ。
11月 いい加減 将来についても考えないと…、 将来…か…、
「ごちそうさまでした」
一人しかいない部屋には言葉1つ1つがよく響く。
耳をすませば風の音 窓の軋む音
車の走る音 子供の声 。
私は1人がすきだ。
1人も独りも変わらない。
大切な人は作りたくない。
いらない。
また思い出してしまう。あの感情を。
まるで首を締められるように苦しい あの感情を。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!