第9話

*初めての症状(かんじょう)
34
2018/01/27 15:34
(………………ここはどこだろう?)





ふと目を開ける。
見えている視界は、ほとんど真っ白。
月野 結愛
………あれ?……あたし……
保健室の先生
あ 結愛さん 目が覚めた? 大丈夫?
景色と同じ、白衣をまとった優しい女性が声を掛けてくれる。









(確か……この先生は…?)
月野 結愛
…え?何がですか?……わ…
起き上がった途端、ふらつく。
寝ていると気づかないが、すごく重く感じた。
保健室の先生
あぁ まだ安静にして
またベットに横になると、毛布を掛けてくれた。
月野 結愛
あの…あたし、朝まで教室にいたような気がするんですが?
あたしは、保健室の先生に率直な疑問をぶつけた。
そして先生は驚きながらもこう答えてくれた。
保健室の先生
もしかして…覚えてないかしら?
貴方、教室で倒れてしまってね、今は下がっているけれど運ばれてきたときなんか40℃近くもあったのよ
月野 結愛
え?そうなんですか!?
保健室の先生
そうよ~。だから、しっかり休まなきゃね♪
そして先生は笑った。



そっか…

だから……苦しかったのか。

熱くて……たまらなかった。

でも何故かその熱さは額から、というよりまぶたの上の方だった気がする。特に雪矢くんと叶ちゃんが視界に存在(ある)とき、ソレは込み上げてくるようにも感じていた。



(…先生はきっと……先生ならきっと……知ってるのかなぁ?)





あたしは額の熱を手の甲で感じたままぼんやりと天上を見上げて近くにいた先生に聞いてみた。
月野 結愛
……先生、好きな人が…他の女のコと仲良くしていたから熱が出たんでしょうか?
保健室に、沈黙が広がる。先生の返答を待ってみるけれど、何も返ってこないので、もう一度先生に呟こうとすると、先生があぁ!!と閃いて、続けて何やら一人でボソリと言った。
保健室の先生
……ふふ。彼が言っていたのはこの事だったのね♪
一人嬉々としている先生にあたしは疑問を抱く。
月野 結愛
え?誰がですか?
保健室の先生
……何でもないわ。……そうね。結愛さんはその女のコにどう感じた?
月野 結愛
え?……どうって…
先生の意図の読めない問いにあたしは必死に重い頭をフル回転させて考える。

あたしが……叶ちゃんに?

えっと…転校してきて初日から男子とも話せてて凄いなぁって思ったし…美人さんだし…。
月野 結愛
……いつも男子に囲まれてて、それで……あたしの方がずっと前から雪矢くんのこと好きだったのに……叶ちゃんはすぐ仲良くなっちゃって、そしたらなんだか………なんだか……
保健室の先生
『悔しかった』……?
答えを導き出せないあたしの呟きを遮って先生が言う。
月野 結愛
…え?

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