(………………ここはどこだろう?)
ふと目を開ける。
見えている視界は、ほとんど真っ白。
景色と同じ、白衣をまとった優しい女性が声を掛けてくれる。
(確か……この先生は…?)
起き上がった途端、ふらつく。
寝ていると気づかないが、すごく重く感じた。
またベットに横になると、毛布を掛けてくれた。
あたしは、保健室の先生に率直な疑問をぶつけた。
そして先生は驚きながらもこう答えてくれた。
そして先生は笑った。
そっか…
だから……苦しかったのか。
熱くて……たまらなかった。
でも何故かその熱さは額から、というよりまぶたの上の方だった気がする。特に雪矢くんと叶ちゃんが視界に存在(ある)とき、ソレは込み上げてくるようにも感じていた。
(…先生はきっと……先生ならきっと……知ってるのかなぁ?)
あたしは額の熱を手の甲で感じたままぼんやりと天上を見上げて近くにいた先生に聞いてみた。
保健室に、沈黙が広がる。先生の返答を待ってみるけれど、何も返ってこないので、もう一度先生に呟こうとすると、先生があぁ!!と閃いて、続けて何やら一人でボソリと言った。
一人嬉々としている先生にあたしは疑問を抱く。
先生の意図の読めない問いにあたしは必死に重い頭をフル回転させて考える。
あたしが……叶ちゃんに?
えっと…転校してきて初日から男子とも話せてて凄いなぁって思ったし…美人さんだし…。
答えを導き出せないあたしの呟きを遮って先生が言う。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。