第6話

*転校生
34
2018/01/07 14:10
クラスメイト
なぁ、どこから来たの?
東 駿
俺、東 駿(アズマ シュン)よろしくな!
お昼休み、美人転校生の周りには我先にと言わんばかりの質問や自己紹介の大嵐。
神奈
うわ…。すごい、モテだわぁ
月野 結愛
ホント…
あたしたち女の子は、美人転校生とその周りに群がる男子たちを遠巻きに見ていた。以前の学校でもこんなカンジで慣れていたのか彼女は動揺ひとつしない、それどころか誘惑するように群がる彼らの瞳を見つめた。

(すごいなぁ…。男の子と仲良く話せるなんて)

とあたしが感心して眺めていると不意に神奈ちゃんが耳元でささやく。
神奈
……結愛、あんなヤツに負けんじゃないわよ
月野 結愛
…え?
神奈
ん!
神奈ちゃんが質問には答えず叶ちゃんを指差す。
その指先を追って見ると、珍しく男子といず、一人で弁当を食べる雪矢くん。そして、その綺麗な横顔を叶ちゃんが時折チラチラ見ている。
神奈
……アイツ、たぶん雪矢に惚れてるから
神奈ちゃんが小声で言う。
月野 結愛
え?…えっ?……あっ!!
カタン!
食べていた弁当の側に置いてあった缶ジュースに手をぶつけて、当たった缶が床に落ちる。
神奈
……あーあ。結愛ってば
そう言いながらもやっぱり鞄からポケットティッシュを取り出して、一緒に拭いてくれる神奈ちゃん。
観月 愛梨
あはは。結愛もホント、おっちょこちょいだねぇ。ほら、あたしも拭くよ。神奈、ティッシュちょーだい。
月野 結愛
あ、あたしも拭くよ!
神奈
神奈ちゃんがティッシュを渡して言う。 
月野 結愛
皆、ありがとね~
あたしが言うと、あたしの隣に座っていた観月 愛莉(ミズキ アイリ)がすかさず
観月 愛梨
あー、いいのいいの。大丈夫、結愛ならやると思ってたから☆
と言って、笑いがわき起こる。






































神奈
じゃあ結愛ばいばい~!!
月野 結愛
うん。バスケ頑張ってね!
神奈ちゃんは、バスケ部に所属してて、今はキャプテンもつとめている。
その点あたしは帰宅部なので、神奈ちゃんとは別れていつも一人で帰る。
運動もできないし、勉強だってそこそこ。

(あたしてダメだなぁ……)

軽く落ち込みながら、正門を出る。
ふと顔をあげると、信号待ちをする一人の男の子。








…………雪矢くんだ。
月野 結愛
あれ?雪矢くん?まだ部活の時間じゃないの?
あたしは驚きのあまりに思わず思ったことが口をついた。
ぽかんとした様子で見つめる雪矢くん。
その様子を見て、あたしは自分がつい声にしてしまっていたことに気が付いた。同時に、恥ずかしさがこみあげてきた。なにか言おうともするけれど、言葉も出てこないので、慌てて彼に背中を向けて走り出す。


パシッ。
雪矢くんの手が向こう側へ歩き出すあたしの手を掴む。
雪矢
途中まで……一緒に帰ろうよ
すると雪矢くんはまたいつもの笑顔で笑ってくれた。

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