お姉ちゃんは、いつにも増してキラキラした目で私を見つめてくる。
私が呆気にとられて黙っていると、お姉ちゃんは眉をひそめた。
菜摘に聞いていてわかっていたことだから、あまりびっくりしなかった。
それよりも私が気になるのは、その相手だ。
お姉ちゃんは、“よくぞ聞いてくれたっ!”と言わんばかりの表情で、口を開いた。
私は、ぽかん、と口を開けた。
お姉ちゃんがあまりにも堂々と胸を張っているから、当然学校中の誰もが知っているような王子様的存在なのかと思ったら、全然知らない名前だった。
まぁ、お姉ちゃんがそんな王子様と付き合えるわけないか、と心の中で笑う。
お姉ちゃんは、いつもとは打って変わって、夢見るお姫様のような瞳だった。
お姉ちゃんと私の趣味は違うからなぁ…。
そんなに言うなら、一度見てみたい。
その“星宮隼人”って人を。
でも、あくまでお姉ちゃんの彼氏だからね…。
お姉ちゃんのことだし、彼氏がそんなにキャーキャー言うほどの人だと私はあまり信じていなかった。
お姉ちゃんの自慢の彼氏か…。
紹介されるのが今から楽しみだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!