第10話

Episode_10
561
2018/01/06 10:51
9時55分。
あと5分で、約束の時間になる。
お姉ちゃんはさっきから落ち着かない様子で、時計をチラチラ見てはスマホを触っている。
そのときだった。
ピーンポーン。
インターホンがなった。
お姉ちゃんは、すぐに玄関に駆け出して、ドアを開ける前に髪を整えた。
ガチャリ。
お姉ちゃんがドアを開けると、そこにいたのは…。
宅急便の人
宅急便でーす
威勢のいい声で、宅急便の人が言った。
お姉ちゃんは少し動揺しながら、差し出された紙に印鑑を押した。
梶原碧麗
梶原碧麗
はぁー…
お姉ちゃんは、そう言ってソファーにバタリと倒れ、うつ伏せになった。
お姉ちゃんは、彼氏が来る前から緊張しすぎて、疲れてしまったらしい。
お姉ちゃんが眠気に襲われ始めたとき。
ピーンポーン。
インターホンが鳴って、お姉ちゃんは飛び起きた。
次こそは、彼氏だろう。
お姉ちゃんは、髪を整えて、大きく深呼吸をして、玄関に行った。
ガチャリ、とドアを開ける音が聞こえた。
梶原碧麗
梶原碧麗
…隼人、おはよう
お姉ちゃんの声は、いつもと全然違った。
緊張していて、小さくて、控えめで…。
頬をピンク色に染めてもじもじしている様子が、見なくても頭に浮かんでくる。
お姉ちゃんの彼氏
おはよう。
今日は呼んでくれてありがとう
梶原碧麗
梶原碧麗
ううん…あ、上がって?
お姉ちゃんの彼氏
おじゃましまぁす
足音がだんだん近づいてくる。
なぜか私までドキドキしてくる。
ガチャ。
リビングのドアが開いて、お姉ちゃんの後に入ってきたその人は…。
星宮隼人
星宮隼人
こんにちは
一瞬、時間が止まったような気がした。
星宮隼人
星宮隼人
…あれ、“おはよう”だっけ。
いや、“初めまして”か?
お姉ちゃんの彼氏は、予想以上だった。
予想以上に…
──カッコよかった。

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