第17話

Episode_17
377
2018/01/13 21:04
***

それから、どれくらい過ぎただろう。
一ヶ月ぐらいは経ったと思う。

あの出来事のあと、お姉ちゃんの様子も、お姉ちゃんと隼人くんの関係にも、特に変わりはなかった。
ただひとつ変わったのは、学校で隼人くんと目が合ったりすれ違ったりしても、話しかけられなくなったこと。
安心した反面、ちょっと寂しかった。
でも、隼人くんからは何も言われないし、隼人くんとお姉ちゃんが上手くいってるのならそれでいい。
そう思った。
隼人くんへの気持ちは心の奥に片付ける、そう決めて、今はその途中。
もう少しで全部片付け終わる予定。
そしたら、別の誰かに恋をして、その人しか眼中に無くなって、隼人くんのことは完全に忘れる。
隼人くんが私に話しかけなくなったってことは、あの出来事を少しは気にしているあかしだ。
だけど隼人くんなら、ほんの少しだけ。
だから、あんな告白ぐらい間に受けてはいないはず。
私はあれから、変わろうと思うようになった。
新しい恋をするために…もっと詳しく言えば、隼人くんのことを忘れるために、男子を落とすのが目的だ。
まず、胸。
インターネットで調べて、バストアップ効果が期待できる食べ物をチェックしたり、マッサージをしたり。
三日に一回程度で測っているけど、最近1センチくらい大きくなった。
効果があったのか、気のせいなのかはわからないけど…。
そして、オーラというか性格というか…。
勉強ができたらもっといいけど、私にはなかなか無理だから、そこらへんは後回し。
落ち着いたイメージを持たれるように、常に冷静で落ち着いた発言や行動を意識している。
あと、私が作りたいのは色気。
髪の結び方は、二つ結びじゃ子どもっぽいから、下ろすか、ポニーテールか、ハーフアップにしていったりもする。

色気が作れるものと言ったら、やっぱり体型かな。
でも私は胸ないし…。
だから、今それを頑張ってる最中。
胸がなくても谷間を作れる、っていうブラを見つけたから、誰にも内緒で買いに行った。
買うのは恥ずかしかったけど、“新しい恋をするため”だから…。
昼休みはお弁当を急いで食べ終わって、菜摘に“ちょっと行ってくる”そう言って行くようになったのは、図書室。
なんとなく、いいんじゃないかな、と思っただけ。
もともと読書をする方ではないけど、これも落ち着いた雰囲気づくりのため。
真面目な内容の本を選んで読んでいる。
最近は、男子の視線も感じるようになった。
わからなくはない。
あのブラで胸の谷間ができたから、制服のボタンを上の方は開けっぱなしにしている。
恥ずかしいけど、男子は単純だもん。
そして今日も、図書室に行った。

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