第19話

Episode_19
396
2018/01/13 22:26
次の日も、その次の日も、私と颯也くんは図書室で一緒に話した。
すごく楽しくて、時間を忘れていた。
いつの間にか、お互いの呼び方も呼び捨てになっていた。
それから、二週間くらい経ったある日。
いつものように図書室で颯也くんを待っていると、きたのは…。
梶原麗奈
梶原麗奈
…隼人、くん?
…隼人くんだった。
隼人くんは、私を見てそっと微笑んだ。
星宮隼人
星宮隼人
…あ、あのさ
何を言われるのか、ドキドキして仕方なかった。
星宮隼人
星宮隼人
前に…ほら、告白してくれたじゃん?
やっぱり、あのときのことだった。
せっかく忘れていたのに、今更なんで…?
梶原麗奈
梶原麗奈
…はい
星宮隼人
星宮隼人
気持ちは嬉しいよ、でも…
そんなこと、言わないで…。
星宮隼人
星宮隼人
俺には碧麗がいるからさ
私はただ、ひたすらうなずいた。
星宮隼人
星宮隼人
…麗奈ちゃんの気持ちには答えられない。ごめんね。なかなか言い出せなくて
隼人くんは、バツが悪そうに笑った。
隼人くんは、何も悪くない。
悪いのは私。
隼人くんにはお姉ちゃんがいるのに、一目惚れして告白してしまった私。
梶原麗奈
梶原麗奈
大丈夫です…あの、ごめんなさい。気にしないで、ください…
隼人くんはうなずいて、これからもよろしくね、と笑って図書室を出ていった。
私の隼人くんへの恋は、完全に終了した。
全部、終わった。
そう確信して、安心した…はずなのに。
気持ちは揺らいでいて、隼人くんへの気持ちがまた戻ってきそうで怖かった。
そのとき、颯也がきた。
滝沢颯也
滝沢颯也
ごめんね、遅くなって…
あれ、どうしたの?
颯也は、私の泣きそうな顔を、心配そうに覗き込んだ。
颯也の心配そうな表情はきっと、私が泣きそうになっているからだけじゃない。
…何か、さとったんだと思う。
颯也はさっき、多分隼人くんとすれ違って図書室に入った。
颯也には、隼人くんとのこと、二週間の間に話していた。
だから、心配になったのかもしれない。
梶原麗奈
梶原麗奈
何でも、ないよ…
滝沢颯也
滝沢颯也
…ねえ、今日の放課後って空いてる?
そう誘う颯也の目は、真剣だった。

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