───18時。
それぞれが、朝の時の席に座っており、ここに来るのは私が最後のようだった。
「話し合い」
これは、人狼ゲームの中で重要なイベントだ。
初日は特に手がかりもなく、この話し合いでこの先のゲームに役立つかどうかで吊られるか決まる。
とにかくここで上手くやらないと、あとがめんどくさい。
少し息を整えて、椅子に座った。
おお、ここにもいたか。
初日に処刑される村人Aくん。
そうやってムダに反発しない方がいいよ?
今日はこの人に決定かしら?
空輝の言うことも分かる。
だが...この人狼ゲームってゲームはずるい。
...このゲームの肝となる、大事な事を言っていない。
───このゲームでの「死」は、本当の「死」を意味することを...
最初は誰でも、バカバカしく思うだろう。
しかし、誰か一人が吊られて死ぬ、もしくは失格して死んだ時、事の深刻さに気づくのだ。
でも、助言なんてしない。
余計な事言って、疑われたら元もこうもない。
このゲームは所詮 「殺し合い」にすぎない。
クラス内の友情がどれだけ薄っぺらいのかよく分かるよ。
...どうせなら、楽しんでやらないとね?
まず、初日に吊られる人を悪人に仕立てあげることからはじめまーす♡
まずは、みんなにいらない人と思わせること♡
さすが経験者だけある。
きっと私の思惑に気づいて乗ってきたんだろう。
さぁて、そろそろ進むかしら?
みんな臆病だから、「自分は吊られたくない」って考えでいっぱいなんでしょ?
だから、他の人を人狼に仕立てあげる。
人間の黒い部分が出る、真っ黒なゲームよね〜
あー、醜い醜い。
空輝だっけ?このまま...死んじまえ。
...チッ...余計なことしないで、お願いだから。
喜一には安全な場所にいてほしいの。
...今から吊られる可愛そうなやつのことなんて、庇わないで?
はぁ...言わんこっちゃない。
最悪。
こういう事態を避けたかっただけなのに。
...しゃーない、動くか。
とりあえず喜一の件は一時的に免れることが出来た。
占い師は、共犯者としても知っておきたい人材であることは確か。
...ただ、問題が1つ。
人狼の誰かが、占い師と名乗った場合、本物の占い師と偽占い師の見極めが必要になる。
そこで人狼に喰われてしまうと、本物の占い師は死に、人狼は有利になってしまう。
だが、人狼がこうなることを予想してたかは分からない。
...でも、初日からなるとは思っていなかったんじゃないかと思う。
人狼の中で占い師が被ると人狼は人狼同士で争うことになる。
すると人狼陣営は不利になる。
...さぁ、ここで人狼はどう出る?
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!