『皆さんのプレイしていた人狼ゲームとルールはほぼ変わりません。』
…全部、知ってる。
聞かなくても分かる。
だけど、初めてのフリをした方が、疑われにくいだろう。
『人狼は夜中の12時から2時までに村人を一人殺害してください。
投票の時間は20時です。
話し合いに、時間は問いません。
22時から6時まで、人狼以外のプレイヤーは部屋から出れません。
6時には部屋にあるテレビで、役職の操作をしてください。
ある一定の範囲を超えたり、他人に危害を加える、物を壊すなどをすると失格になります。
役職は、皆さんの椅子の裏にあります。
このカードは、他人に見せても見られてもいけません。
では、役職を紹介します。
人狼二人、村人四人、占い師一人、騎士一人、そして…
───【共犯者】二人、【狂人鬼】一人。』
クラスメイトが一斉にざわめきだす。
新しい役職だ…
共有者なら知っている。
能力がある訳ではないが、お互いが白だと知っている者達の事だろう。
なら…“共犯者“とは…?
狂人なら知っている。
人狼陣営だが、占いでは人間と出る厄介なやつだ。
なら…“狂人鬼“とは…?
『では、説明します。
“共犯者“とは…村人陣営でも、人狼陣営でもありません。
勝敗が決まった時、共犯者が一人でも生き残っていた場合は“共犯者陣営“の勝利になります。
また、共犯者同士はお互いの事を共犯者だと知っています。
占いでは、人間と出ます。
“狂人鬼“とは…人狼陣営ですが、占いでは人間と出ます。
ここまでは、狂人と同じです。
…違うところは、自分が投票で吊られた場合、誰かを巻き添えにできる事です。
また、人狼は狂人鬼が誰か分かりません。
同じく、狂人鬼からも、人狼が誰か分かりません。』
…周りが騒然としている中、私だけが微かに笑みを浮かべていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!