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第5話

私のSecret2ーⅡ
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2018/01/31 05:46
待ってもいない朝がまたやってきた。

ちょっと心配してた朝方の発作は、暴れないでいてくれたみたいでちょっとホッとする。
 
1階に降りても誰の姿も無い。

朝は基本1人。低血圧なだけあって、朝から人と喋るのは苦手なのだ。

いくら家族であっても。


お腹空かないかも。でも、使用済みの食器が無かったら母はきっと心配する。

だけど食べれそうにもないから、冷蔵庫にあった焼きプリンを適当に食べ、そそくさと大嫌いな制服に袖を通した。

あ、いつの間に…?


勉強机の上には、飲みかけのペットボトルの水のとなりに保険証が綺麗に並べてあった。

昨日は、とにかく爆睡していたんだろう。普段は誰か入ってきたらきっと気づくはずなのに。

心の中で、ありがとうと言い丁寧に財布へ保険証をしまった。

病院…行かなきゃいけないかな…?

悩んだ末に結局…

「あなたさーん、どうぞ~」

素直に来てしまう私。なんとなく馬鹿な気がした。

「今日はどうしたかな??」

優しいおじいちゃん的先生は当本人の顔ではなく、カルテと睨みっ子しながら話し出す。
 
「昨日からちょっと風引いちゃって」

原因は自分なのだけれど、昨日からというのは間違っていないはず。

「そっかそっか~。暖かくなってきたって言ってもまだ気温差あるもんね~。」

「はい」

よく喋る先生。昔多弁だった私さえそう思うのだから、結構口数が多いお方なのだと思う。

訳のわからない英語みたいな文をひたすらカルテに写している。

そして、

「じゃあベットに横になってね~」

と嫌な言葉が。

恥ずかしいとか、怖いとかそういうわけじゃないんだけど、聴診ってとても嫌。

だけど抵抗はできない。お利口さんでいなきゃいけないという精神が私を支配する。

聴診器を持って脇に立つ先生を絶対見ない。

だって…

「息とめないで」

毎回こう言われるから。

「大丈夫。分かってるから」

やっぱり…?最初から分かられていることをちょっと感じてはいたけれど、聴診が終わったときに言われる言葉でさらに確信する。

「発作止めの薬は出しておくからね。それと…点滴ね??」

ここに来る時は基本喘息の発作後。初めて来院した時は軽く注意されたっけ?

発作が出る前に来て欲しいって。

だけど、そんな暇がないというか…来る気になれないというか…絶対来院しない私に先生も呆れたのか、なんにも言わなくなった。

そのまま奥の部屋に通される。

2つ並んでるベットの左側が私の所定の位置らしい。いつも何故か此処。

緑色のお布団で清潔感が出ている、あの先生がチョイスしたとは思えないちょっと可愛らしいベットに横になった。

ちょっとすると、見慣れない看護師さんが点滴セットを持ってくる。

前回は…2月に来たからその間に変わったのだろうか??

「右と左どっちがいいかな??」

と笑顔が似合う若い看護師さん。

「右でお願いします」

ブレザーを右腕だけ脱ぎ、ブラウスを肘の上まで上げるときっついゴムで上の腕をしばられた。

あぁ窒息しそう…。血が壁で遮られた感覚。

右手をグーにすると浮いてきた…あれ?浮いてこない。

薄っすらと緑色の血管が浮いてくるはずなのに、なぜか今日は見えない。

看護師さんも困っている様子。だけど…

「消毒するね~。」

と言い、すぐに感じる尋常じゃない痛み。

なんでこんなに痛いの⁉

「ごめん。もう一回いくね」

申し訳なさそうな顔に何も言えず、無言で頷いた。全身に力が入る。
 
ビクッ

やっぱり痛すぎる。おかしい。

視界がぼんやりと歪んでいく。

「ごめんね…ちょっと待っててね」

看護師さんまで泣きそうになっちゃってる。ごめんなさい、私がもう少し我慢強ければそんな表情させずに済んだかもしれないのに。

罪悪感でいっぱいになってると、

「あなたちゃん、久しぶり~。また発作でちゃったのね~」

とお馴染みの看護師さんが。

不安が少し飛び、ちょっとした安心感で一筋だけ涙が流れてしまった。

「ごめんね~。彼女今月から入った子なの!でも笑顔かわいいでしょ?」

いつもの看護師さんの後ろからひょこっとさっきの若い看護師さん。

「あなたちゃん、ごめんね??」

今言葉を発したら涙がまた出そうだったから、伝わるように首を振った。

「でさ、次で入るように頑張るから左でもいいかなぁ?」

え…?

3秒くらい思考停止。今なんて…??

「一発で入るようにするから…!」

とハツラツとして言う看護師さんは、きっともう点滴が嫌だと捉えているはず。

もちろん好きではない。だけど、あの苦しみから少しでも開放されるなら、そのほうが楽。
 
でも…。

「あなたちゃん、ごめんね…。トラウマ作っちゃって」

いや違うんだよ若い方。

トラウマちゃトラウマだけどさ…。  

5分は経っただろうか?患者さんはきっとたくさんいるはず。私だけに時間を割いていられないのは充分に承知している。

だから…。 

半分しか脱いでいなかったブレザーを完全に脱ぎ、左のブラウスもさっきと同様に上まで上げた。

分かってる。若い看護師さんの表情で、何を言いたいのかは。  

だからこそ、針を刺される腕は見ないよう、真逆を向いた。  

年の功というか、いつもの看護師さんはいつも通りの振る舞いで、

「刺すよ~」

と一発で入れてくれた。
痛みもさっきより少なかった気がする。違う。それよりも心の痛みの方が遥かに強かったんだ。

「30分くらいで終わるからね~」

と去っていく2人に、聞こえるか聞こえないかの声ではいと答えたけれど、届いたのだろうか?

今日も嫌な一日。最悪な一日。

私は…今年、生きていけるのだろうか??


さっきの針が上手く刺さらなかったときとは違った痛み。

何かが染みる痛さ。耐え難い痛みにハッと目を開けると、先生といつもの看護師さん。

何事⁉と思い、その先をみれば痛みの原因が発覚。

「いつから??」
 
普段通り、怒ったりせず、ゆったりとした先生の口調に思わず乗せられる。

「小学…6年生…の頃…からです」

寝起きで乾燥しているのもあるけれど、緊張で言葉が出にくい。

いたっ
 
無意識に未だ点滴が繋がれている腕を引こうとするけれど、ガッチリと抑えられてしまった。

「もうすぐ終わるから。」  

となだめるような口調の先生。だけど、やっていることは残酷だよ??
 
「こんなに傷つけて…胸が痛むよ」

そんな事を言われるこっちが、余計に胸が痛むよ。
 
腕の消毒の痛みと、心の痛み。

やっちゃいけないことだって分かってる。
知っているけれど、衝動的に行ってしまう行為で、左手首には無数の傷跡が残ってしまった。

「はい。おしまい。次に総合病院行くのっていつ??」

「忘れました…」
 
「そっかそっか~。じゃあ、元気になれる飴あげる」と言って、イチゴの飴をくれた。  

ちょっと子供扱い??

だけど、少し嬉しいかも。看護師さんも、良かったねなんて言いながら、点滴を抜いてくれた。

穏やかなクリニックで少し安心した。

久々に起き上がると急に起き上がったからか目眩が耐えない。

「少し座っていた方が良い」と言うお言葉に甘えさせてもらい少し座っていると徐々に落ち着いた。

その時、

「これ、病院に持っていって」と白い封筒。 

喘息じゃない疾患もある私。此処と総合病院に通院しているから、きっとそっちの病院のこと。

中身は見えないようしっかりとのりでくっついている。お礼を言い、お薬を貰って大嫌いな学校へと足を進めた。


もう11時半近く。あと少しで3時間目終わる頃だな。