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第4話

肌寒くて温めたくて。
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2019/02/17 18:23
新しいクラスになってすぐ、
6月にある修学旅行の準備に取り掛かった。


2泊3日の修学旅行の予定。
学級委員であり、周りからの信頼が大きく、リーダー的存在な穂貴は班長になっていた。


「班ごとに席移動をしろー。」

穂貴の班は黒板の前。運の悪さに苦笑いした。
穂貴の班は男子5人班で全員と仲が良く、意見を出し合いスムーズに話が進んだ。


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「今日は身体検査だ。女子が先に保健室へ。終わったら修学旅行の予定を立てる作業へ。男子はその後だ。」


出席番号順に女子が帰ってくる。
ドアの方へ目を向けた時、希望が帰ってきた。
寒そうに畳んで置いてあったジャージを着ている。
希望が寒がりなのは去年見ていて知った。

女子が半分帰ってきたため
そろそろ男子が身体検査の番だ。
ジャージを脱いで畳もうと思った時
希望が寒そうにしてたのを思い出した。

「しょうがねーな。」
小さく呟き、ジャージを手にし希望がいる自分の席へ。



──バサッ


寒そうにしている希望に
背後から自分のジャージを頭から被せ着させた。


周りの女子が高い声で騒ぐ。
希望は戸惑いながら顔を向けてきた。


「悪い神崎。ジャージ預かってて。」
そう言い残し、その場を早く離れた。


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クラスに戻ると班の自分の座っていた席に綺麗に畳まれたジャージ。
の上に、筆箱、消しゴム、シャーペン等。
穂貴の物であろう筆記用具が全て出されていた。


「あいつ…。やりやがったな。」
呟きながら筆箱を開いた。

1枚の紙切れ。


『ジャージありがとね。』


希望の方に目を向けた。
気づいたのか希望は笑顔を見せた。


──そんなん口で言えよばーか。

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