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第146話

episode 145 / むにむに
9
2026/03/08 15:56 更新

















あなた
… 期待、しちゃうよ、?














その ひと言で、時間が止まる。









さっきまで、私たちの視界を覆い尽くしていたクリスマスの飾りたちは、もう、見えなくて。










たった ひとり、彼だけに、私の意識は引き寄せられる。















…… 寒さも相まって、赤くなった耳。







さっきから ぎこちなく、右へ左へ反復する瞳。







いつもの彼みたいに、揶揄うような表情も、なくて。









 


それらが ただ、止まった時の流れの中で、私の期待を、少しずつ ふくらませていく。











…… 自分から聞いたのに、こうやって、期待して待っているだけなんて、私は きっと、ずるい。




















gakuto
…… いーよ、








彼の口が、そう動いた。









あなた
ほん、と、?






それが、自分に都合の いい妄想なんじゃないか、なんて、ちょっと、信じられなくて、思わず零した。












あなた
ん、


gakuto
… ほら、ほんとでしょ?












ほっぺを むに、と つねられて、いつもの笑顔が向けられる。







…… 正確には、いつもより少し、赤いけれど、











それが痛くないことよりも、高鳴ってしまう心臓が、夢じゃないことを、教えてくれる。





















あなた
…… ちょっ、がくとくっ、









一度 離した私の頬を、何回か ぷにぷに つつくと、今度は両手で むにむにされる。










あなた
…… ひょれ、たのひぃそれ、楽しい…?




gakuto
うん、すっごく、








即答されては、その手が離されることもなく、ただ ひたすらに、彼の体温を感じる。






その手つきが、撫でるように優しくて、あたたかくて。











gakuto
あははっ、赤くなっちゃった、 









だんだん あがっていく顔の温度も、直に伝わってしまうから。

















gakuto
 わっ ⁉︎ 









あなた
…… なが、いっ、//










少し背伸びして、彼の顔に、両手で触れる。






…… 私の手じゃ、彼みたいに、すっぽり覆えなくて。







彼の手の大きさを改めて感じて、そんなことに、いちいち どきどきしてしまう。











gakuto
… つめた、



あなた
 楽翔くんが あったかいんだよ、



gakuto
えぇっ、そう?







にへ、と笑った彼の頬を、 …… 本当に、なんとなく、















gakuto
… どう?






あなた
…… たのしい、かも、



gakuto
でしょ、









どちらからともなく、笑い声が溢れる。








こんな時間が、どうしようもなく、好きで。











あなた
( … 楽しみだな、)









今まで、気付けば過ぎ去っていたはずのイベントが、初めて、“ 特別 ” に一歩、近付いていく気がした。














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