第15話

初めまして~NJ~
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2018/05/02 10:06



彼女はとても綺麗で美しく

魅力に溢れている女だ。




そんな彼女にはある病気がある。






「記憶保存障害」






彼女は一ヶ月経つと

記憶が2017年の5月2日に戻る。



僕は2017年の5月2日に

彼女と出逢っていないから

彼女は一ヶ月経つと僕のことを忘れる。




そんな彼女に恋をすることは

どれだけ苦しく残酷なことかは

自分でもよく分かっている。



でも恋は盲目だ。

恋をするとその事しか目に入らない。







僕は本当に彼女に溺れているようだ。



















「じゃあまた明日ね!」



今は2018年の5月1日。

彼女の記憶が消えてしまう日。



『また明日』



僕は彼女の記憶が消えることを知りながら

いつもと同じように挨拶をする。



「ばいばい!!」



そう言って自分の家に帰る彼女の姿を

黙って見えなくなるまで見つめる。












2018年の5月2日。



僕は毎月2日という日が嫌いで

彼女は毎月2日に僕を初めて知る。



携帯を持っていない彼女に

僕の連絡先などないから

彼女は完全に僕のことを忘れる。












ドンッ





毎回、毎月、君との始まりは何故か


登校中にぶつかるところから。




「あっ、ごめんなさい…」

『僕も、ごめんなさい……っあの!』



彼女はぽかんとした顔で

僕を見つめる。



『初めまして。僕、キムナムジュンです』



彼女に聞こえるように

大きい声で。



「初めまして!私、ユンあなたです!」








この一ヶ月で


また僕は、君と共に恋をする。



そして一ヶ月後


君は僕のことを忘れる。



そしたらまた僕達は


「初めまして」


を口にする。

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