あれから大体一週間がたち
私は真穂と一緒に吹奏楽部への入部を決めた
陸上からは何度か誘いがあったけれど
やっぱりこっちがやってみたくて
断ってしまった
でも、後悔はない
それからもパートを回る楽器の体験は
一週間以上続き
ついに今日は新入部員である一年生の
所属パートが決まる日だ
う"……美希奈先輩、何気にいじわる……
みんなが気になってるところから
潰してく気だ…
しぶしぶ夜瑠先輩が
美希奈先輩の提案を承諾する
やっぱちょっとした罪悪感とかあったりするよね…
と、名前を呼ばれた
和香…という無気力そうな子が返事をした
呼ばれなかった子達が
羨望の声をあげる
……そうだ
打楽器の枠はあとひとつしかないんだ
あと1人
入部を決めた30人位の人の中で
選ばれるのは、あと1人だけ……
お願いします……!
どうか、選ばれてて……!
バクバクバクバク
ずっとなってる
心臓の音、すごい
ちがうパートでもがんばるって決めたけど
やっぱり
打楽器に入りたい……っ
─
え?
いま、夜瑠先輩、何て……?
わたし、打楽器でこれから部活ができる…?
ばっと夜瑠先輩の方を見ると
振り返った先輩とバッチリ目があって
動揺しているこっちの身なんか知らずに
にかっと笑ってくるから
また顔があつくなってしまう
前の変な病気、再発だ
………今発見した、新たな問題点
わたしはこれから
毎日この病気と
隣り合わせでいなくちゃならないんだ……!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!