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第1話

いち。
29
2017/12/24 16:46





「星。綺麗だ。」

学校帰りコンビニもない暗くて静かな住宅街をぽつりと街灯だけが照らす道を歩きながら上を見上げた。
スマホを開き時計を見れば夜中の0時25分。
もう日付も変わり少し慌てて早歩きになる。

「ただいま」

家は暗い。明かりもついておらず外を歩いていた時よりも寂しい空気が流れている。
玄関の明かりを付け、靴を脱いでリビングへ向かうとリビングの机の上には母からの置手紙と現金2500円が置いてあった。
置手紙には【友人と旅行します、おそらく二、三日で帰ってくるのでそこに置いてあるお金を食事代に使ってください。母より】
と書かれていた。
おそらく男の所に行ったのだろう。


母は私を産んだ後しばらくして父と別々になった。

私を産んだときの母はまだ高校生だった。
二人が出会ったのは私を産む1年前の高校1年生で新入生として入学式に参加したときお互い一目惚れして入学式が終わったすぐに
父から声をかけその日のうちに付き合い始め、順調に時間が進んでいった。
半年ほどたったころ頭痛に微熱、嘔吐、生理の遅れに気づき病院でお腹の中に私がいることを知った。
不安になりながらも私が居ることを父に話すととても喜んでくれた。
母はその時とても安心したと嬉しそうに言っていたのを覚えてる。
しばらくして私は誕生し父と母は高校を中退し父はバイトをしながら、母は私の面倒を見ながら幸せな家庭の中で暮らしていた。
しかしケンカが絶えなくなり私が2歳になった冬、父は家を出た。
それでも母は父の帰りを待っていた。毎日のように思い出話をしては笑ったり泣いたりを繰り返していた。

私が小学生になった頃、母はよく外出をするようになり家に帰る度に父ではない男をつれており、その頃私はそれが不思議に思っ
ていたので学校が早く終わったある日、家に帰ってきたときにいつも二人がいる部屋を覗いた。その時二人がしていた行為を目に
し、背筋がゾッっとして怖くなって家を飛び出した。

数時間後家に帰ると「おかえり」といつもより甲高い声が聞こえた。

それからいつもより早く学校が終わる日、家に帰ると玄関には男物の靴が置いてあったのでその度に外で時間をつぶして家に帰り、
いつも通り普通の会話をしてご飯を食べお風呂に入って寝る、見たことは忘れていつかそんな事はなくなるだろうと思いいつも通
りの普通の生活をした。

しかし母の男依存は治ることは無く今日みたいに度々家を空けることも増えていきそれが普通のことになった。





























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