第4話

よん。
10
2017/12/26 12:00




―(チャイム)

「ん。」

チャイムの音に気づき目が覚め、伏せていた顔を上げまだ開き切っていない眼を手でこすり
周りを見渡すと生徒が誰一人いないことに気が付いた。

「一限目…移動教室だったかな」

時間割の書かれたノートを取出して見ると化学と書かれていた。
時計を確認すると始まった時間になっていたので諦めたように少しも慌てることなく、化学室
へ移動しようと教室を出て階段を降りようとしたが他の教室はとても静かで扉もしまっていた。
よく見ると朝だというのにとても薄暗く、それなのに電気もついていない事に気味が悪いと
感じ少し足早に階段を降りる。
化学室を通るにはいつも騒がしい二年生の教室の前を通らなければならないのだがなぜか物音
ひとつ聞こえないので足を止め、少し開いていた教室を覗くと誰もいなかった。

「体育か」

体育で居ないから当然か、と思い化学室に向かうためにまた歩き始めた。

「こんなに遠かったっけ」

なぜかいくら歩いても教室にたどり着かない、化学室はすぐ目の前なのに歩いても歩いても景色
は変わらない。また気味が悪く感じ早歩きになっても全然変わらない景色に怖くなりさらに足早に
なっていく。こんなに走ってるのになぜか息が切れていないことに気づくとおそらく瞬きしたのだ
ろうか、一瞬で目の前に化学室が現れた。

驚いたがここにいることが怖いと感じドアに手をかけ開けてみると、いつも通りの部屋に安心し、
ほっと息がこぼれた。
しかしそこには誰も座っておらず教卓の上にはとてもきれいな黒い毛色の小さな猫が座っていた。




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