💙 🔫 💙
十四松は何度か棒から出た電気を浴びてしまっていたため、思うように身体を動かすことが出来ていなかった。
私は十四松に駆け寄った。
私は十四松の腕をぐいっと引っ張るが、十四松はその場から動こうとしなかった。
十四松はポケットから黄色い玉を取りだした。
痺れを切らした偽一松が口を挟む。
そう言って十四松は、ニコッと笑って見せた。
安心する笑顔に思わず、この状況から逃げてしまいそうになったが頭を振って意識を呼び戻した。
頭の片隅で聞こえた靴音に、私は意識を集中させる。
誰かの…靴音……
━━━タッタッタッ…
誰…?一松…?
もう少しでこっちに…
十四松の声にハッと意識を戻した。
目を開けると、すぐそこまで偽一松が近付いてきていた。
捕まるっ!!!
…
あれ?
目を開けると、そこには一松が私と十四松の前に立ちはだかっていた。
そう言うと十四松は、また私を持ち上げて走り出した。
一松は私達に背を向けたまま、早く行けとでも言うよに手をヒラヒラと振った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!