「切⋯断家?」
「うん、君の眼はちょっと特殊なんだ」
「普通の人は専用のゴーグル、メガネをつけないと見えないんだけど、切断家はそれがいらない」
彼は一呼吸置いて
「そして、普通なら取れないサクラを素手で"むしり取る"ことが出来る」
要は⋯
「簡単に才能を奪える⋯?」
「ピンポーン♪だいせーかい」
「でも、その奪ったサクラは自分自身に取り入れることは出来ない」
「え?意味無くね?」
「いやいやー!このあとが大事」
「枯れたサクラを実にしてはいけないんだ」
先程言っていた、さくらんぼというものか?
「さくらんぼ、通称"暁"」
「暁?」
「暁は恐ろしいんだよ。」
彼は表情を曇らせ声をひそめて
「脳が侵食されて、心臓を蝕み、そして接吻した相手の脳に強制的にさくらんぼを植え付けるんだ」
ウイルス的なものか?
「暁になったら、どうなっちゃうの?」
「思考が鈍り、さくらんぼに乗っ取られていくんだ」
考えるだけでもゾッとした。
「さくらんぼに感染した人が、正常な判断が出来なくなり殺人を犯す」
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。