「よっ!」
次の日の朝、昨日の彼に声をかけられた。
それにより昨日の出来事が夢ではなかったと思い知らされる。
「何の用ですか?」
「んーとね!今日は新しい暁のデータが入ったから、その情報提供♪」
「あ、ありがとうございます。」
正直いらない。
「今日はこの子ー!」
ペラっと紙を1枚取り出した。
ご丁寧に顔写真付きだ。
それは隣のクラスの鈴川遥日
仲良くもないし。ただ共通点があるとしたら
同じ委員会ということだけ。
「んで?この子はどんな才能があるの?」
「音を聞き分ける能力!」
え?そんなもんなの?
いや、なんか意外だわ。
いつもテストは学年トップ。
しかも、鈴川財閥の超お嬢様。
「そうなんだ⋯」
彼は私の心を呼んだかのように。
「うん!まぁ正直意外だよねー!」
とりあえず頑張ってねぇ!と。
いや、他人事すぎんだよな。
他人事だけど。
さて、鈴川のさくらんぼ、どうやって取ろうかな。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!