しばらくしたら、戸が開くおとがした。
ん??……えっ……。
終わった。父さんと母さんだ。
少し怖くなり、少し大きめのクッションを抱き締めた。
__優也~?貴方が居るせいで、この家がげがれていってるの。出てってくれない??__
どんどん近寄ってくる…。僕が後ろに下がると壁に背中がついた。…いや。壁じゃない。窓だ。ここは三階落ちたらもともこもない。
__じゃあね。一生私たちの前に現れないで。__
そう言われると、僕は肩を思いっきり押された。後ろの窓が開いた。そのまま頭が下になったまま落ちていく。頭だけでも守らないとっ!!
持っていたクッションを頭の上に被せ、目をつぶって落ちていく。
バキッ!!!! 『ぐはっ!!!』
初めて聞く音。初めて感じる痛み。
太いものが折れる音。なんとも言えない痛み。動けない。白いはずのクッションが、もう真っ赤だ。
血まみれになり、骨も折れた。そのままねっころがったまま。今は動けなかった。
そろそろ、動いた方がいいな。
起き上がるのも辛い。どうにか折れた右足をひきずりながら、森の奥の方へ歩いていく。
これから、どうしよ。
痛みでなにも考えられない。
ふらつく…。
なんか、ぼーとしてきた。
目の前が…ぼやけてきた。
そのあと………僕は…倒れた。
__あっ!貴方!!大丈夫っ!?__
そんな声も僕には聞こえなかった。
かけられたことすら分からなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。