うっかと廊下を歩き昇降口を目指す
今日はお母さんは夜勤で帰ってくるの遅いから
私が晩御飯を作る
居候の子の好きな食べ物とか聞いとけばよかったなぁ
「おーいお前ら」
後ろから声をかけてきたのは担任の山本先生だった
山本先生は数学の先生
「今野知らないか?」
「悠真なら部活行きましたよー」
「くっそあいつ…」
「悠真がどうかしましたか?」
「…いや、なんでもない。そうか分かった。サンキューな。気をつけて帰れよ」
山本先生はそう言ってどこかへ行ってしまった
・
「部活行って呼んできてあげよっか」
「え、それ大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫!山本先生が呼んでるなら問題なし!」
うっかに手を引っ張られ私たちはサッカー部が練習するグラウンドまでやって来た
────────────────
「さすがサッカー部、イケメン揃いだわ…」
手を双眼鏡のような形にしてグラウンドを見渡すうっか
悠真どこだろう
「あ!」
隣にいたうっかがいきなり大きな声を出すので
びっくりしてしまった
「びっくりした…」
「いたよ悠真!」
うっかの指さす方を見ると確かに悠真がいた
シュート練習中みたい
「じゃ、ぱぱっと私言ってくる」
「うん」
うっかは走って悠真の元へ
私は練習の邪魔にならなさそうな場所へ行った
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。