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第2話

再会
17
2017/12/28 22:24
廉が亡くなった――


母の言葉に耳を疑った。


「廉が…??いやいやいや。そんな訳ないじゃん!!冗談きついよ…??あはは…」


嘘。

その一言が聞きたかった。


でも、母の表情を見ればそれが嘘じゃない事なんて分かりきっていた。


私はそのまま家を飛び出した。

向かったのはもちろん廉の家。

(廉がもうこの世にいない?そんなはずない!だって、数ヶ月前に話したんだよ?写真撮ったんだよ?笑ってたんだよ?)


走って廉の家に行き、チャイムを鳴らした。
本当はチャイムを鳴らすのが怖かった。


ピンポーン
しばらくして、おばさんが顔を出した。


廉が亡くなった訳ないよね!?何かの間違いだよね!?


喉元まで出かかっていた言葉は、おばさんの顔を見て消え去った。

おばさんの目は泣き腫らして真っ赤だった。

それが全てを受け入れろ、そう言われたように感じた。


「澪ちゃん。来てくれたのね。」


無理やりに笑顔を作ったおばさんに胸が痛んだ。


「おばさん…」

「上がって…??」

「お邪魔します…」

何回も来た場所なのに、初めて来たような感覚だった。
おばさんに連れられて行った部屋には変わり果てた幼馴染の姿があった。


「廉…??」


その場に立ち尽くすことしか出来なかった。


「こっちに来て顔を見てあげて。」

そう言われ、廉の傍へ行った。


本当に眠っているかのようだった。
もう少し待てば起きてくるんじゃないか…そんな考えばかりが頭をよぎった。


「…廉??」


もちろん返事はない。


「廉…」


もう一度呼びかけてみる。


「廉…!!」


何度呼んでも答えは同じだった。


「返事してよ…ねぇ、廉…」


そう言いながら廉の顔に手を添えた。

冷たかった。

あんなに温かかったのに、こんなにも冷たくなるのか、と

この冷たさが私にどんどん現実を突きつけてきた。


気づけば涙が溢れ出ていた。
涙で廉の顔がよく見えなかった。


「ねぇ、次はいつ会えるのかなって、どんな話しようかなって…」


でも、どうしようもない。


「それに、まだ大事なこと伝えられてないよ…」


今更遅い。


「廉…もう1回笑ってよ…」





――好き





たった二文字を伝えられないまま廉は行ってしまった。

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