第6話

さよなら…最後は笑って
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2017/12/28 15:21
茅田 龍
本当のキスは現実の俺に預けとく。
私が顔を真っ赤にすると

龍君は涙を流し

そっと笑った。
龍君の足はさっきよりも薄くなっていて

私はそれに気づき龍君の手を握ると

龍君も私の手を強く握った。
茅田 龍
あ…。言い残したことまだあったわ。
そう言うと前を向いていた体を

私に向け真剣な顔を作った。
茅田 龍
やり方は教えれないけど、現実の俺を助けて欲しい。
あなた

助けるって…。
未来ってそう簡単に変わるものなの?

茅田 龍
この世界はパラレルワールドなんだ。
あなたが右に曲がった世界と
あなたが左に曲がった世界。
どっちも実在する。

だからあなたの行動次第で
茅田 龍の人生も変わるんだよ。
(私の行動次第で…。)
あなた

でも…。
どこで龍君が車と接触するかなんて…。

私がそう言うと龍君は首を振った。
茅田 龍
そんなこと知らなくてもいいんだ。
今…あなたがどうしたいかで
動けばいいだけなんだ。
(私がどうしたいか?)
そう私が悩むと

龍君は私の頬にある涙をぬぐった。
茅田 龍
最後くらい笑ってくれよな?
え?っと龍君の体を見ると

向こう側が透けていて

私は我慢していた涙が一気に溢れて

袖で涙を吹いた。
あなた

う…うん!

透けていた体は

足からどんどん無くなっていき

私は龍君の手をさっきよりも強く握った。
茅田 龍
じゃあ…最後に…。
ずっと前から好きでした。
あなた

わ、わた…

最後まで言おうとすると

龍君は私の口に手をおいて

涙を流しながら笑った。
茅田 龍
この意味…分かるよな?

あと…13時間違うやつと会ったっていったけど
あれ嘘だから。
この1日あなたに会うためだけに来た。
遊園地だってお前と行きたいだけだったんだ。
茅田 龍
ありがとうな。
そう言って龍君は消えていき

私は涙をふいて笑顔を見せた。
そして私はベンチから立って歩き始めた。

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