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第16話

現実と夢
22
2018/07/19 12:31
あなた

う……くぁ……

胸が苦しい 。
心拍数も上がってきている 。
呼吸が難しい 。
寒い 。 怖い 。
咲斗
咲斗
大丈夫なの??
咲斗の声がした 。
恐る恐る顔を上げた 。
咲斗
咲斗
兄ちゃん…♪
そこには, ニタァと笑った咲斗の姿があった 。
やっぱり, 見間違いじゃなかった 。
そう思ったのが, 僕の意識では最後だった 。
そして, 次に目が覚めたのは真っ暗の世界 。
あなた

ここは……??

クレイ
クレイ
無様だな 。 貴様 。
目の前には制服姿の少女がいた 。
あなた

お前は……

クレイ
クレイ
まぁ, 知らないだろうな 。
初対面だぞ 。
初対面……??
初対面……なのか??
僕の脳裏ではその言葉が過ぎっていた 。
どこかで会った気がする…
学校か…?? 駅か…??
いや……病院か…??

僕は記憶の隅々を探した 。
けれど, 少女の記憶は見つからなかった 。
クレイ
クレイ
無駄に足掻くな 。
今から教えてやろう 。
そういうと少女はニタァと笑う 。
クレイ
クレイ
クレイ・オブリニアだ 。
あなた

……!?
クレイ・オブリニア……!?

クレイ
クレイ
そうだ 。
本で見たことあったのかもな 。
僕の顔は写真で載ってるから 。
やっと思い出した 。
こいつは……神の中でも最強な神 。
そして, 世界の中心となっている者 。
あなた

お前が……僕に何の用だ……

クレイ
クレイ
なんの用と言われてもな 。
貴様は, 悔しくはないのか 。
クレイは変なことを聞いてきた 。

悔しくは……ないのか??

言葉が理解できなかった 。
クレイ
クレイ
恐らく, 今のお前は意識不明の重体 。
生死をさ迷ってる状態だな 。
あなた

生死を……さ迷ってる!?
どういう事だ!

クレイは, ため息をつく 。
クレイ
クレイ
貴様は騙されたんだ 。
レイという男にな 。
あなた

え……

レイ……に??
嘘だ……嘘だ!!
クレイ
クレイ
嘘ではない 。
アイツは, よく言えば魔王に近い人物だ 。
あなた

魔王に近い人物!?!?

クレイは頷く 。
クレイ
クレイ
エレナとリノは恐らく知っていただろうな 。レイの正体を 。
あなた

エレナとリノが……!?
なんで僕に教えなかったんだ 。

クレイ
クレイ
やはり人間は無能すぎる 。
エレナとリノは教えたかったが, 教えられなかったんだよ 。レイに脅されてな 。
あなた

うそ……だろ……

僕は本当のことを聞いた 。
レイは人間が大嫌いなこと 。
初めて会うのは偶然じゃないこと。
無名の神と名乗ったのは, 本当は神ではないこと 。
この夢の世界からの脱出の仕方は無理やりに過ぎないこと 。
今までのやりとりは全て演技だということ 。
そして, 咲斗の意識を操りこの世界に連れてきたこと 。
あなた

それじゃあ, あいつが元凶なのか??

クレイ
クレイ
そうだ 。
これは, 魔王の許可無しで行っていることだ 。
あなた

なんでそう言いきれるんだ 。

クレイは, 指を鳴らした 。
そしたら目の前に, モニターが現れた 。
あなた

どういう事だ……??

そこのモニターに映っていたのは,
魔王のボロボロの姿だった 。
頭から血は流れ, 鎖に繋がれた姿だった 。
クレイ
クレイ
今から, 魔王救出を開始する 。
これは, 貴様がいないとできない事だ 。
頼めるよな 。
あなた

あぁ 。
救出してやんよ 。

クレイは, 頷く。
そして, 手を出した 。
クレイ
クレイ
貴様の体内に入ろう 。
僕は意識と意識を繋ぐ者 。
誰かの体を借りなければ自由に歩くことさえできない 。 扉ひとつない意識の牢獄に閉じ込められているんだ 。
あなた

そうなのか 。
わかった, 僕の体内に入っていいよ 。

クレイは, 頷き 手を握った 。
すると, あたりは眩しくなった 。その瞬間, 力がみなぎるようなきがした 。

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