大輝に、直見理紗(あたみりさ)…彼女が出来てからは、あまり話さなくなった。
最初は寂しかったけど、帰りだけは一緒に帰ってくれるから安心してた。
体育祭は惜しくも2位。
そんな結果に落ち込んでた私を含むクラスメイト達を、励ましてた。
一番ショックだったのは大輝なのにね。
テストの成績はいつも上位。
あたしは中の下くらい。
いつもバカにされてたっけ…
思い返せば…たくさんありすぎる大輝との思い出。
…やっぱ、大輝がいなきゃ無理だ。
生きてる心地がしないよ。
ねぇ…っどうしてここにいないの?
ドンッ
誰かにぶつかり、鈍い音がした。
え…や、やだ
宙にふわりと浮く。
そうして、スローモーションかのようにゆっくりと落ちていく。
…っや、っやだ!
っ怖い…!!!
…っまだ死にたくないっ!!!
誰か、…助けて…っ!
落ちた私を見て、誰かが不敵に笑う。
───私の意識は、そこで途絶えた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。