第6話

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2018/01/07 09:49
さかっちに謝っておこう。

言い訳は…腹痛でトイレに行ってたでいいや。

親友の上野彩智(うえのさち)、通称さっちゃんにも同じ言い訳をして、帰る支度をした。

大輝 (だいき)
楓ー、帰んぞー



頭をポンポンしてくる大輝。

『あたしは子供じゃない…!』
って毎回言うんだけどさ…

「悪ぃ…いつもの癖で」


そう爆弾スマイルで言うから何も言い返せない。

大輝 (だいき)
「あれ? 今日は子供じゃないって言わねーの?」

呆れた顔をして言葉を返す。
あたし(楓)
もう言い飽きた。



でもね…こうやって、バカして笑えてることが本当に嬉しいんだ。

一度…大輝を失って気づいた。


“大切な物は、失ってから大切だと気づく“


これが…本当だということ。



“あたりまえ“を大切にしないといけない。


あたりまえがあたりまえじゃなくなった時は、自分が自分じゃいられなくなった。


人の話なんて頭からすぐ通り過ぎちゃうし、食欲も全く湧かないし、生きている心地がしない。



怖いと思ってたこの現象…

あたしの愛するスマホで検索したら
「タイムリープ」
って出てきた。


難しいことはよく分かんないけど…なんか、過去や未来に意識だけが行くことらしい。

だから、体はタイムリープしに行った所の状態なんだって。

最悪…なんて思ってたけど、よく考えてみれば…
























大輝が死んじゃった未来を、変えれるかもしれない。








今はこうしてタイムリープさせてくれた、神様(?)に感謝しないと!



このタイムリープ…絶対無駄にしない。

まだ、分かんないことだらけだし…怖いけど、大輝を救ってみせる。



心に強く決めた。









大輝 (だいき)
なにぼーっとしてんだ?早く帰るぞ。
あたし(楓)
今行く!








この時のあたしは…未来を変えることが、どんなに難しいことか…まだ知らなかったんだ。

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