────放課後が来てしまった。
何だろう…すごく怖いのは、今まで色々あったからかな
隣に並んで歩く。
校門を出たあたりから、大輝が淡々と言った。
…ん?
何それ、好きだったとか何も聞いてないんだけど…
頭が真っ白になる。
何かずっしりした重いもの…ハンマーで殴られたような感覚。
思わず横にいる大輝を凝視した。
私の思っていることを理解したような感じで、また話しだす。
直見理沙は確かに一目惚れされそうな容姿をしている。
栗色の色素の薄い髪に、整ったゆるふわロングヘアー。目はお人形さんのように大きくて、瞳は茶色い。
鼻は高く、唇はぷっくりしてて、
身長は160cmくらい…胸も大きい。
(Dカップくらいはありそう)
胸がチクッとした。
…多分、幼馴染が他の人に取られたような気がしたからなんじゃないかな…。
こんなこと思ってたら、子供って言われても何も言い返せない。
何ともないようなフリをした。
幼馴染の恋が実って、喜んでいる良い幼馴染を演じた。
大輝の顔が、一瞬曇ったような気がしたのは…気のせい。
…何を言ってほしいんだろう。
さっきから、ムカムカして余計なことを口走りそう。
よくわかんないけどね。
ムカムカしていたせいか、当たりの強い言い方になってしまった。
これじゃ、ただの八つ当たりだ。
あたしがこんなんだから、可愛げがないって言われちゃうんだよね…
やばい…大輝も怒ってるみたい。
…でもさ、大輝に怒られる筋合いなくない?
彼女が出来たとか、一目惚れしたとか、突然言ってきてさ…
幼馴染ならもっと相談とか協力とかしてあげたかったのに。
あたしもあたしで、結構いらついてたから…
睨むような目で大輝を見たら…
傷ついた顔してた。
その顔はすぐに怒りの顔に変わって、普段の大輝からは考えられないような怖い顔。
目を背けたくなるけど、そらしたら負けな気がして睨み返した。
ごめんって謝ってない。
完全にキレてた。
あぁ…ほんっとムカつく。
こんなことでイライラしてる自分にもムカつく。
…後ろを一切振り返らずに、逃げるようにして走った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。