第16話

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2018/01/05 12:13

『じ、事故とは言えど、か、彼女がいるのにほんとご、めん事故だけどね…』


「い、いや、じじ事故だし、セーフだろ…俺こそごめん、な。」


赤い顔のまま、二人とも俯く。




…何を照れてんだろう。

幼馴染だしこれくらい何ともない…はずなのに、





こんなに胸が高鳴るのは、どうしてなのかな…


彼女がいるって言われた時、心がチクって傷んだ。
仲直りできた時、心の中が幸せで満たされた。
キスした時、胸が高鳴った。

























────もう…隠せないや。












この感情に気づかないほど、あたしはバカじゃないよ。







…多分、ずっと前から、大輝のことが好きだった。

これは、幼馴染としての好きじゃなくて、恋愛感情の好き。





今まで、幼馴染ってレッテルを貼られて…気づきたくない感情だった。

できれば、このまま幼馴染でやり通すつもりだった。




…でも、ダメだ。

大輝がいなくなって、あたしがあたしじゃなかったのは…それだけ、大輝が大切で、生活に欠かせない人だったってこと。





…知らないふりをしてた。


本当は、もっと前から思い当たることがあった。






勝手に好きになって、勝手に失恋した。


大輝には彼女がいる。


これは紛れもない事実。



…何だろう。

言っちゃ悪いけど、大輝と直見の仲が良いようには見えないんだよね…



表向きは、ちゃんと楽しそうにしてるつもりなんだろうけど、大輝が心から笑えてない…っ、気のせいだよね!


多分…直見に嫉妬したからこう言いたかっただけだと思う。

















…最近疲れたような、諦めたような冷たい目…遠くを見てる大輝の事をあたしは理解しようとしてなかった。

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