第27話

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2018/01/09 14:53


【楓へ】


俺は...お前に、ずっと隠してきたことがある。

簡単に言うと、俺はこの時代の人間じゃない。


いわゆる...タイムスリップってやつかな。

俺は今から250年後の未来から来た、未来人。




こんなこと言っても信じられねぇと思うけど、本当なんだよな...




俺さ、自分のいる時代が嫌になって、家出してきたんだ。

俺の時代は…理由あって、サッカーができない時代。


やったことないけど、やってみたかった。


昔の人が、どんな風にスポーツをして、どんな気持ちで体を動かしてたのか知りたかった。


だから、この時代に来たんだ。





あと、俺がここに来たのはお前が高校2年生になったばかりの時。



...悪いけど、記憶を書き換えさせてもらった。



おふくろとおやじも、子供が欲しかったけど生まれなかったらしいから、俺が息子になった。



お前との幼稚園とか小学校とか...喧嘩した話とかも、全部書き足しただけ。



お前を幼馴染にしたのは…最初は、家が近くてサッカーに関心を持ってる人だったから。

最初は、サッカーをしたくてここに来ただけだった。


けど、この時代を生きていくうちに…たくさんの仲間と出会って、お前と出会って、俺は幸せだった。


ずっとここで暮らせたら...なんて思ってたけど、家出なんて所詮は家出なんだよ。


未来からこの時代に警察が来て、俺を捜索してるらしい。


見つかると...犯罪者扱いだとさ。




だから...大事になる前に帰ることにした。















守れない約束をして...ごめんな。



あと、お前がタイムリープしたのは多分...直見がお前を階段から落とした衝撃で、たまたまタイムリープしたんだと思う。




…俺と関わった記憶は全部消すから。













今まで本当にありがとう。
















最後だから言うけど...俺、お前のこと...








...やっぱ言うのやめたわ。


言い逃げはずるい。









じゃ、幸せになれよ。



大輝より

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