第30話

エピローグ 【2】〜完〜
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2018/01/14 10:56



そんなことを考えながら、勤務先であるグラウンドに向かっていく。




あたしは現在、地元のサッカークラブの専属マネージャーをしている。



地元って言うけど、割と強いところで良く雑誌に載ったりテレビに出たりしている。















そういえば...今日は、チームメイトがもう一人増えるんだっけ。


準備が一人分忙しくなるなぁ...














涼(りょう)先輩
遅いぞマネージャー。
あたし(楓)
そこの坂に咲いてる桜見てて遅くなりました。



...実は、涼先輩もここに所属しているんだよね。


あたしがマネージャーをすることになる前から、入ることが決まってて、所属したのは本当に同期。





先輩だけど同僚みたいな…そんな感じ。





正直、男の人だらけで怖かったから嬉しかった 。











涼(りょう)先輩
そういや、新人来てんぞ。



あたしと同い年って聞いてるから、少しワクワクしてる。



サッカーがすごい好きだったけど、一度足を怪我して挫折してしまったらしい。



けど、またできる足になったんだってさ。



知らない人でも夢が続いてくれて嬉しい。









似たような話を聞いたことあるような...



































涼先輩が一旦部屋に戻り、誰かを連れてきた。










涼(りょう)先輩
じゃ、うちのマネージャーに自己紹介頼む。









ドクンドクンと胸が激しく動き出す。














忘れちゃいけない人。













大切な人。














いなくなってしまった人。

















でも、だめなの。














最後まで思い出せない。














彼は誰...?













あたしは彼と前に会ったことがある?













頭がズキンズキンと痛む。













思い出せそうで思い出せない。













ーーー
…ちょっと、二人にさせてもらってもいいすか?
涼(りょう)先輩
? いいけど、可愛いからって襲ったりすんなよ?
ーーー
...約束は、できないっす。



二人の会話が謎なんだけど...


可愛いから襲う?


襲うってあの?


可愛いってどこをどう見たらそうなるんですか?


涼先輩...新人くんと眼科行ってきなさい。













新人くんと二人になった。

すると彼はにっこり笑った。










あたしは...この笑顔を見たことがある。





「.......あたしは子どもじゃない!」

「.......ごめんね...」

「...…サッカーを諦めないで!」




脳裏にこんな言葉が浮かんできた。



これは...誰に向けて言った言葉なの?













思い出せそうで思い出せない。




喉元まで出かかってるのに。













きっと、すごく大切なこと。











忘れちゃいけないこと。




































ーーー
...初めまして。






……違う、初めましてじゃない。




あたしだけかな...会ったことがあると思っているのは。









欠けたピースがだんだん埋まっていく感じ。












あたし(楓)
…違うっ、初めましてじゃない!!!
































































































ーーー
っ、ただいま……楓。
あたし(楓)
っ大輝っ...遅いよ...ひくっ











忘れちゃいけない人。









大切な人。











あたしに幸せをくれた人。












高校2年生の文化祭後から探してた欠けたピースが全て埋まった。











全部思い出したよ。












幼馴染で...あたしの好きな人。







学校で一番にモテて、サッカーが大好き。








喧嘩した時は、いつも先に謝ってくれる。









くしゃっと笑う笑顔が大好きだった。



























また、会えたんだね。





身体に温もりを感じる。



今…大輝触れてる。









ちゃんとここにいる。








あたしが強く抱きしめると、それ以上に強く抱きしめてくれる。



















顔を見上げて、唇を重ねた。











あたし(楓)
4回目のキス、だね...
大輝 (だいき)
...すげーな、さすが俺の楓。
記憶消したはずなのに...思い出したんだな。
...そんなやつは楓だけだよ。

まぁ、涼先輩を見れば分かると思うけど。
あたし(楓)
...そんなこと、ないかもよ?
大輝 (だいき)
...は?
ふふっ、実はね...
あたし(楓)
涼先輩があたしに、新人が来るって電話で伝えた時に「俺...見たことある気がするんだよね」って言ってたから...
大輝 (だいき)
まじかー、...ちょっと嬉しいかも。
あたし(楓)
...あのさ。
大輝 (だいき)
ん?
あたし(楓)
大輝がいなくなる前に、あたしに言おうとしてたことって何?
大輝 (だいき)
...あー、じゃあ今から言うわ。



































































大輝 (だいき)
.......楓が好き。
天然バカな所も、人思いな所も、突っ走っていく所も、素直な所も全部。

もう、絶対にいなくならない。

俺と...付き合ってください。

















あたし(楓)
……っあたしも、大輝が大好きっ!!!






あたし達は…5度目のキスをした。







一度遠く離れてしまっても、気持ちだけは繋がっていれる。



どこにいたって、あなたを思ってた。



































また、恋を始めよう。


何度でも、君と。










〜【何度でも、君と。】〜

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