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第8話

右の頬に触れてみる。
1粒の雫が指先に触れて弾けた。
真奈華
あれ……なんで泣いてんの……あたし。
なんて表現するのが正しいのか分からない。
でも、自分の意識で泣いたって言うよりかは、不意識に溜まっていた涙がこぼれたと言う方が適切な気がした。
泣いたのなんて何年ぶりかのだったろうか。
別に泣きたくなかった訳ではなかった、むしろ泣きたい場面なんていくらでもあった。でも、泣きたい場面があっても、泣ける機会がなかった。この時はいつぶりか忘れたけど涙が溢れた。
充電中のスマホを引き抜き、すぐさまタブを開いて高橋蓮音の事を調べた。
真奈華
……。
何も言葉が出なかった。言葉の変わりにせきを切ったように涙がでる。そこに書いてあったのは、蓮音くんのあの寂しそうな表情の答えだった。
幼稚園の頃からずっとサッカー一直線の少年。小中でも続けて、高校は全国でも有数の高校に入って、将来の夢だったプロサッカー選手に向けて、風邪引いても、怪我しても絶対に部活を休まず自分に出来ることを全うするスポーツマン。
悲劇が起こったのは、高校二年生の大事な大会の前だった。夜遅く、自主練を終えたあと帰宅してる最中に飲酒運転の車にはねられた。すぐさま病院に運ばれ、大手術の末、一命は取り留めた。だけど、、意識不明から目覚た時には命と引き換えにサッカーのできない体になっていた。
真奈華
……そんなの嘘だ。デタラメだ……。
そんな体験した人が立ち直れるわけがない…素直に人のこと応援できるはずなんてない。
本人が、テレビで、
蓮音
サッカー、自分じゃプロなんて無理ってわかって諦めたんです!
って言ってたもん……。
もう1度スマホに目を移すと、続きには、今の高橋蓮音が生まれた理由が書いてあった。

『サッカーで出来なかった恩返しをするためにこの世界に入った。
自分も家族も昔から仮面ライダーが好きで日曜日の朝はみんなで見るのが習慣でした。』

真奈華
なんで……なんでそんな気持ちになれんの……
もう涙腺はボロボロだった。
全てがあたしなんかより何倍も立派で……大人で……自分の悩みが馬鹿らしく思えた。
真奈華
あたしってほんと損して生きてるなぁ……笑
こんなに立派で素敵な人を今までずっと悪人って概念だけに囚われて決めつけてただなんて。
悪人って決めつけてたおかげでここ一年近くの蓮音くんの魅力を見逃し続けてたなんてほんと損してるな。これこそ自業自得ってやつなのかもしれない。
その時、あたしの世界に、知らない感情が生まれた。
なんだか胸がモヤモヤして、何故か泣きなくなる気持ち。

それは、『恋』という感情だった。

初めて聞く名前。自分には関係ないと思い続けてた名前。

ずっと、たった一つの感情で回っていたあたしの世界。
そこに彗星のように飛び込んできた初めて誰かから教わった感情は、苦しくて……甘酸っぱくて、でも、どんな感情より素敵なものでした。