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第12話

祖父
産まれたのか!?
息を切らしながらいう。
少し遅れて祖母がニコニコしながら入ってきた。
祖母
生まれたって聞いたら準備もせずに飛び出しちゃって、ほんと赤ちゃんが楽しみだったのね笑
じいちゃんが焦ったり、自分を取り乱す姿など見たことがなかった。祖父はすぐにベビーベッドにいるあたしに近づいて抱き上げた。
祖父
真奈華……待ってたぞ。
真奈華??
母が不思議そうな顔をする。
祖父
あぁ、この子の名前は真奈華だ。
表舞台でも裏舞台でも中心となって、真ん中にいてみんなを引っ張って、どっしりと唐梨の木のように心の広い子になり困難を乗り越えて大きな華を咲かせる子になるように。そんな願いを込めて真奈華だ。
初めて知った自分の名前の由来。
じいちゃんの目は潤んでいた。
きっと徹夜して必死に考えてくれたんだろう。あたしは勘違いをしていた。じいちゃんはただ世間体のためにあたしに色々言ってたんじゃなくてあたしの事考えてて言ってくれてたんだ。
高校に入る前、なんでこんなにも今の高校の看護科にじいちゃんがあたしの事を進学させようとしてるのかばあちゃんがこっそり教えてくれたことがあった。
祖母
おじいちゃんね、不器用だからあんな尖った言い方しか出来ないんだけど、本当は真奈ちゃんの事考えてるんだよ。今のご時世仕事がない時代。でも、看護師の免許を持っていれば、給料もしっかりしてる、産休とか事情があって1度は働くのをお休みしても免許があればいつでも戻れる。おじいちゃんは将来真奈ちゃんが苦労しないようにって最良の道を勧めてるんだよ。
ばあちゃんはそう言ってくれたけど、その時の私の胸にはちっとも響かなかった。まだまだ世間知らずの子供ってとこもあったけど、じいちゃんの事悪人って決めつけてどんなにいい話を聞いても、自分の中で聞く耳を持とうともしていなかったのだ。

でも、今ならちゃんとわかる……。
あたしはなんでそんなことも気づけなかったんだろう。自分は本当に馬鹿だ。思わず目から涙がこぼれる。
ミク
ミク
……子供のこと思ってない親なんていないのよ。おじいちゃんだって同じ。もうひとついえば、おじいちゃん真奈華が無事に生まれますようにって県内中の安産祈願のお守り買いに行ったのよ。

ミクがあたしを抱きしめていう。
全部……全部初めて聞いた。自分の中で勝手に悪者だって決めつけようとしてたんだあたし。それに気づくとほんとに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。こんなにみんな大切に思っててくれてたのにあたしはなんにもしてあげれてなかった。優しさを勝手にダメな方に変換しようとして、自分から家族の時間を壊し続けて生きてきてたんだ。そう気がついたらなんだか、胸の中に詰まってたものが涙とともに流れていく感じがした。
真奈華
ありがとう。
最後に誰にも聞こえないけど病室に響き渡る大きな声でお礼を言い深くお辞儀をし、部屋を出た。