目を開けるとそこは何も変わらないいつもの教室のいつもの席。
ミクの姿はもうなかった。
ぼーっとしていると終業のベルがなり、時計に目をやると針は4時を指している。
7時間の時間の旅だったみたいだ。
あたしがいない間どうなってたかはわからないけどミクのことだからきっとうまくやってくれたんだろう。
SHRも終わり、教室からどんどん生徒が出ていく。
いつもなら一番に帰るけど今日はずっと席に座り最後の1人だった。
ほんと短い時間の不思議な旅だったけどきっと一生忘れることのない旅。大人になると色々なものが変わるって言うけどきっとこの記憶はずっと残り続ける。誰もいない教室で空を見上げ、背伸びをする。
この地球が丸いのは、世界中どこにいても、隅っこにいることがないように。って昔誰かが言ってた。
今のあたしだったら、少しだけその理論がわかるきがする。
人間なんて一人で生きられない弱い生き物。
でも、誰かが常にどこかで自分のことを支えてくれているから人間は強く、優しく生きることができるんだ。
もしかしたら、大切なものはまだ見えていないかもしれない。
でも、きっとその大切なものはあなたが成長した時に、いつかあなたの元へやってくるのだと思う。
どこかでミクの笑い声が聞こえた気がした。
ミクか……。いい名前だな。
いつか出逢える大好きな君との大事な子供のために覚えておこう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。