自宅に帰っても、兄弟や親は仕事だの何だのでいなかった。だから1人の空間がある意味心地良かった。このまま次の時空とかに、今までのことが夢じゃなく、記憶を思い出してるだけなら行けちゃうのに…とカナデは考えた。
(そーいや…自分のフルネーム!確認しとかないと!)
カナデは胸に付いていた名札を確認した。
「雪ノ花 奏」
名札には、そう書いてあった。
「そう…ゆきのはな…そうだよ、なんで忘れてたの私…割と珍しい苗字だし…人にも覚えられるの早いのに…」
力が抜けて、だんだん眠くなってくる。
(あー…なんかもう色々、疲れるな…。)
瞳をふと閉じた時、体の感覚が浮いた気がした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。