第4話

メルアド
1,374
2017/12/28 01:29
「…って、優馬くん、本当は“オレ”とか語尾に“な”とか、言う人なんだ!?」


数秒の沈黙のあと、私はそう切り出した。


自己紹介して、会話がなくなるなんて、気まずい。


「え、まぁ…男子だし…。」


「最初さぁ、“僕”とか“そうなんですか”とか言ってたから、消極的なおとなしい人かと思った!」


「だ、だってそりゃぁ、初対面だったし…。」


そう言って優馬くんは頬をポリポリとかく。


あ、また。


「じゃあ今は、素を見せてくれてるわけだ?」


「ま、まーな。」


ふふっ。


嬉しーなぁ!


「あ、ねぇ、LINE交換しない??」


ちょっと図々しいかな?


「…え?」


ポカンという顔の優馬くん。


顔に戸惑いの色が見える。


あ、やっぱり、ダメ?


引かれた…?


「ごめんっ、今のなし!」


私は両手で顔を隠す。


恥ずかしいっ…。


断られた…。


「あ、え…。」


指の隙間から覗くと、優馬くんがすごく不思議そうな顔をしてる。


もう、どうしよ。


訪れる沈黙。


…帰りたい。


「なぁ。」


ずっと手で顔を覆ったままの私を見て、優馬くんが口を開く。


「な、なに…っ。」


「なんで顔隠してんの?」


っ。


そんな事聞くな、バカっ。


デリカシー無さすぎかっ。


虚しくなる。


「…交換しようと思ったけど…優馬くん、は嫌なんでしょ…?」


絶対軽いって思われた…。


「交換?

なに、メルアド?」


…。


メルアド、ってかLINE。


まぁ今はそんなことどうでもいい。


私はコクっと頷く。


「え、別にいいよ?」


「えっ。」


思わぬ言葉に、私はパッと手を離して優馬くんを見た。


「あ、でもオレ、今ケイタイ持ってねーや。

なんかメモするもんある?

貸してくんない?」


「え、あ…うん。」


私はカバンの中を探しながら思った。


…なんでLINEはダメなのにメルアドはOKなんだろ。


まぁ、そんなことどーでもいいや。


優馬くんの連絡先を知れるだけで嬉しかった。


「あ、あったよ。」


私はペンとメモ帳を優馬くんに渡す。


「サンキュ。」


私はスマホで自分のメルアドを表示する。


「はいっ、これ私の!」


「えーっと?

ytaetn.09××@…」


声に出しながら私があげたメモ帳に書いていく優馬くん。


「おっけ、じゃあオレの言うからメモって。」


「うんっ。」


私はスマホのアドレス帳に“優馬くん”と打つ。


「ローマ字でyuuma。

ドット、05…」


あ、これ誕生日かな?


ってことはもう14歳なんだ。


「以上!」


「ありがとうっ!」


すごい嬉しい!

プリ小説オーディオドラマ