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第7話

好きな人
「じゃーねーっ!」


私の机にバンっと手を付き、声をかける麻美。


「あ、これから部活?」


「そーっ。

んじゃねっ!」


「うんっ、バイバイ!」


2017年5月25日、木曜日。


春のぽかぽか陽気に眠くなりながら6時間の授業を受け終え、放課後。


私は麻美が部活に行ったあと、帰り支度を済ませて教室を出た。


優馬くんに会ったあの日から3年経ち、高2になった今でも、彼のことは半分忘れられないでいる。


交換した腕時計もまだ毎日つけてるし…。


男物だけど、白い腕時計だから女子の私が付けてても大しておかしくないんだよね。


なんで半分かって言うと…


「せんせー、質問に来ましたー!」


“数学研究室”と書かれた札のついた教室に、ガラガラとドアを開けて入る。


「おぉ、あなた。

どーしたー?」


大きな背もたれの椅子をぐるりと90°回して、こっちを向く先生。


その先生に近づいて、デスクの上に参考書を広げる。


「成宮先生、これ教えて〜。」


私に“成宮先生”と呼ばれたその男の先生が、どれ?と言いながら参考書を覗き込んだ。


ふふっ。


この横顔、好きなんだよなぁ…。


そう、私は成宮先生に恋をしている。


「ここの、問3。

方程式の計算がどーしても良くわかんなくて…。」


「あぁ、これはこーやって…」


先生が裏紙にボールペンで書きながら説明してくれる。


「おぉー、なるほど!」


「分かった?」


成宮先生の説明、すごい分かりやすい!


「さすが、成宮先生!

超分かった!」


ふはっと笑う先生。


「超分かるってなんだよっ」


「えへへっ」


成宮先生は27歳の若い先生で気さくで話しやすい。


だからついついタメ語になっちゃうんだけど、怒らないでいてくれてる。


てか、タメ語過ぎて呆れられてるのかも?


そんな先生だから、いつの間にか好きになってた。


高2になってから数学を教わるようになって、接点ができて、こうやって時々(ほぼ毎日って言った方がいいのかもしれないけど…)、数学教えてもらっちゃーもう、好きにならない人いないでしょ!


…って言っても、そう思ってるのは私だけみたい。


みんな“先生はありえない”って言うんだよ?


まぁ、私的にはその方がありがたいけど。


ライバル減るし!


「あなた、今日部活は?」


「今日はお休みー!

ってことで先生、私の勉強に付き合ってくれるー?」


冗談半分で言ってみる。


どーせ無理なことは分かってるけど。


「…あぁ、いいよ。」


あー、やっぱダメだよねー…って、


「え!?」


今、いいって言った!?


「いいの!?」


「…なんだよ、そのつもりじゃなかったのか?」


「いや、え…意外すぎて…。」


やばい、超嬉しい!!


「なんかオレ冷たい先生に見られてねぇ?

言っとくけど、勉強好きな生徒にはちゃんと先生としての義務を果たすんだよっ、オレは!」


…私は勉強より先生の方が好きですけどね!


ってのは心の中だけにとどめておく。


「んじゃ、行くぞ。」


先生はそう言って立ち上がった。


「え、どこに?」


「…お前の教室っ。

お前のバカでかい声、ここで出されちゃほかの先生に迷惑だからなっ。」


ぐっ。


「はぁーい。」


私も参考書を抱えて先生のあとに続いた。