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第8話

二人きり
…ドキドキ。


胸の音がうるさい。


先生に伝わっちゃいそう。


「っ…。」


ダメだ、集中出来ない。


「…あなた。」


先生が私の名前を呼ぶ。


ドキッ。


「は、はいっ…。」


先生と目が合う。


ドキドキ。


「…さっきから全然進んでねーじゃねぇかっ!!

手、止まってんぞ!」


「わぁぁ、ごめんなさいぃぃ〜っ!」


だってだって〜…。


この教室には、先生と私しかいない。


二人きり。


さらに、一つの机に向かい合わせ。


近いよぉ…。


こんなで、勉強に集中できるわけがない。


「どこが分かんねぇの?」


「ここ…。」


分かんない、と言うより解いてない。


一応、今やってる問題を指さす。


「ったく、今日の授業でやったばっかのとこじゃねーかっ。」


「えへっ!」


んー、示したところがたまたま今日のとこだっただけなんだけどっ…。


「えへ、じゃないだろー、バカ。」


ぽんっと先生の手が私の頭に触れる。


ドキッ。


えっ…。


えっ…!?


な、なにこれなにこれっ!


せ、先生の手が…私の、頭に…。


意識した途端、私の顔が急激に熱くなった。


何秒間そのままだったんだろ。


「せ、先生…?」


もう耐えられなくなって呼んでみた。


「あっ…悪ぃ、つい。」


先生が慌てながら手を離す。


…っ。



“つい”ってさぁ…。


そんな事言われたら、期待しちゃうよ?


「も、もぉー、先生セクハラで訴えちゃうよー?」


私は動揺を頑張って隠しながら言う。


「悪ぃ、悪ぃ、それはやめて!」


先生が目の前で手を合わせる。


「どーしよっかなぁ〜…」


私は腕を組んで、大げさに悩むふりをする。


「もー、これやるからさ、はいっ。」


そう言って先生がポケットから取り出したのは…


「アメ?」


紫半透明の棒付きキャンディー。


それを受け取る。


「ほら、好きだろ、ブドウ味。」


「え。」


言い当てられて驚く。


「なんで知ってるの!?」


私が前のめりになって聞く。


先生に“ブドウ味のアメが好き”なんて言ったことないのに。


「ははっ。

あなた、授業前にいっつもアメ舐めてるだろ、ブドウのやつ。」


「えっ。」


…なんで、知ってるの…!?


「オレの授業、2時間目にあることが多いもんな、その前に舐めてる。

しかも毎回ブドウ味。」


…毎回見られてるとは思わなかった。


どうしよう、今超ポジティブ思考。


私のこと、気にしてくれてる?


なんか、嬉しいかも。


「…物で釣らないでくださーいっ。」


ふいっと顔を背ける。


「んじゃぁいらないんだ?」


先生はそう言って私の手からアメを抜き取った。


「あーっ!

いるいる!

いりますごめんなさい返してーっ!」


私が早口で言うと先生は大爆笑した。


「結局物で釣られてんじゃんっ」


「むーっ…」


私はアメをくわえる。


この時間が最高に楽しかった。