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第10話

帰り道
「なぁ、あなたって帰りどっち?」


「右だよ、駅方面。」


校門を出たところで2人で立ち止まる。


「お、一緒。

オレ電車通学だから駅まで行くんだ。」


「そうなんだ〜っ。」


帰りの方向が同じと分かり、また2人で足を進めた。


空はまだ明るい。


夕日がもうすぐで沈む。


「今日部活無かったんだな、あなた。」


「うんっ、なんか先生が出張でいないから、無しでいっかー…みたいな。」


私は苦笑しながら言う。


「ほーぉ。」


うちの部、緩いんだよね…。


私が所属するのは家庭科部。


料理したり、裁縫したり、のほほーんと活動してる。


時々、ホームソーイングのコンクールがあるからそれに出品する服を作るとか、真面目な活動もしてる。


「春馬くんは?

部活早く終わったの?」


途中で教室に入ってきたし、タオル首から下げてたってことは部活やってたんだよね?


「あぁー。

早く終わった、っつーか…

今日自主練の日でさ。

でも、体育館行っても誰もいねーし、少しやってやめてきちゃった。」


なるほど…。


「!」


いきなりビューっと強い風が吹いた。


私は顔にかかる自分の髪を耳にかける。


「ん?」


春馬くんが私の方を見て不思議そうな顔をした。


「?」


なに、急に…。


「その時計ってさ。」


春馬くんが言う。



「これ?」


私は腕時計を指しながら言った。


「うん、それ。

男物だよな?」


ギクッ。


別に隠すことではないんだけど…。


「あ、うん。」


「そーゆーごつい方が好きなの?」


「あ、いや、これは…

ある人からもらって…あ、借りてる、って言った方が近いけど。」


懐かしいな。


この腕時計。


優馬くんからもらった…借りた腕時計。


返さないまま、ずっと使ってる。


家に置いておこうか迷った。


でも、優馬くんを少しでも近くに感じていたくて…。


…いつか壊しちゃったらごめん。


ってか、公園に来なかった方が悪い!!


「ふーん?」


春馬くんは腕時計をまじまじと見た。


なんか、あの時の優馬くんみたい。


顔もよく見ると…似てる。


「かっけーじゃん。」


ニコッと笑う。


その笑顔が優馬くんと重なった。


「…ありがと。」


でも…名前が違う。


名字はたまたま“唐沢”で一緒だけど、名前が違う。


まさか、双子?


…なんて、まさか。