「…起きちゃった。」
朝、カーテンの隙間から差し込む太陽の光が眩しくて目を開ける。
目覚まし時計に頼らず、自ら起きれたのは初めてかもしれない。
ージリリリリリリ…
いつも通り、6時を知らせる目覚まし時計。
…なんだ、自分で起きれたけど普段と大して変わんないじゃん。
ムクっと上半身を起こすと、急にまたベッドの中に潜りたい衝動が襲ってくる。
あーぁ、学校行きたくないなぁ…。
「はぁ…」
昨日からため息しかついてない気がする。
こんなんじゃ幸せ逃げちゃうー…って、もう逃げられたね。
「あぁーっもうっ!」
自分にイライラする。
なんであんなふうに失敗しちゃったんだろう…。
「あなたー?
起きてるのー?
ご飯出来たから食べに来てー」
下からお母さんの声。
「今行くーっ…」
こんなこと、お母さんにも打ち明けられないし…
しょうがない、学校行くしかないかぁ…。
「おーはよっ、あなた。」
学校への道を歩いていると、いつも通りに友達が話しかけてくる。
「あ、おはよ、茉奈。」
中学校からの仲の高橋茉奈(たかはしまな)。
あと、もう1人ー…
「おっはよう!二人とも!」
「おはよーなっちゃん。」
「夏芽おはよ。」
遠藤夏芽(えんどうなつめ)。
だいたいこの3人で登下校してる。
3人とも部活が同じで仲良くなった。
「てかさ、あなた元気なくない?」
「いつもなら、“なっちゃんおはよぉぉぉぉ!!!”って言いながら私に抱きついてくるのにね!」
なっちゃんがそう言いながら自分で自分を抱きしめる。
そして茉奈もウンウンと頷く。
「いやいや、私そこまでの変人じゃないけど…。」
動きがオーバー過ぎるよ…。
「そーぉ?
私たちから見ればいつもはこんな感じ。
んで、なんかあったの?」
「あ、うん…まぁ。」
一応、この二人には私が先生に恋してることを言ってある。
私の数少ない理解者。
「え、どしたー?」
「…あのね、実はー…」
私は昨日あったことを粗方話した。
「うっそ。
マジか…。」
「私、先生も話せないよ…どうしよ…。」
「「…。」」
私の悩みが2人にとって割と深刻だったのか、言葉を詰まらせる。
そんな沈んだ空気の中、学校へ着き下駄箱で上履きに履き替えた。
「…おはようございますっ。」
ローファーを自分の下駄箱に閉まったとき、横から男の人の声。
そこにいたのは…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。