第24話

2度目の告白
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2018/01/04 15:01
「じゃぁ、行ってくるねっ…!」


ドクン、ドクンとだんだん鼓動が速くなる。


「うんっ、頑張れ!

いい報告待ってるね!」


なっちゃんがこそっと私に言った。


「そんなっ…

期待しないで〜っ…」


もうっ、振られに行くんだってば。


「私、ここで待ってるから。

行っておいでー」


まだザワザワとしている教室。


校庭とかに出てみんな写真を撮ったりするのかもしれないけど、なっちゃんは教室にいてくれるって。


ほんとにいい親友。


「ありがとっ…

行ってきますっ。」


そう言って教室を出る。


お母さんにも忘れ物取りに行くって言っておいたし、大丈夫。


告白してるなんて、誰も思わない。


…早く行かないと、ほかの先生戻ってきちゃうかな?


私は小走りで数研に向かった。





「ふぅ…」


数研の部屋の前で深呼吸。


落ち着け、私。


ガラガラッ。


…この扉を開くのも、今日が最後。


「失礼しまーすっ」


なるべく、なんでもないように軽く言う。


緊張を紛らわせたい。


数研に入ると、成宮先生は向かいの窓に寄りかかって本を読んでいた。


「先生、」


先生も分かってるよね。


今日、今、私が何をしに来たか。


私が声をかけると、先生は本を閉じてそれをデスクに置いた。


「なに、今日も数学でわかんないとこ聞きに来たの?」


ふっと笑った先生が冗談を言う。


「んなわけないでしょーっ!

先生の助けなくても、受かったんだから。」


ちゃんと第一志望校、合格したの。


「そかそか、おめでとうだな。

合格も、卒業も。」


先生…。


卒業、という言葉が重く響く。


…先生と話すものこれが最後って、強調されてるみたい。


「先生、あのね、」


「どこの大学だったっけ。」


私の言葉にかぶせるように先生が言う。


「え…松大…だけど…」


「そか。」


…先生?


「せんせっ」


「あ、生徒達出てきてる。

行かなくていいのか?」


先生が校庭を見て言う。


っ。


また。


先生、私の言葉を遮ってる。


なに、それ。


告白させないようにしてる?


「成宮先生っ!!」


私は叫んだ。


怒鳴った、と言った方が近いかもしれない。


もう、なんでこーなっちゃうかなぁ。


理想はしっとりした告白なんだけど…。


先生は何も言わず、こっちを向いた。


やっと、聞いてくれる。


私の告白を。


「先生、私…」

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