第25話

幸せ
1,204
2018/01/04 15:40
「先生、私…」


「待って、あなた。」


「え…?」


な。


最後まで言わせないつもり!?


私が告白するの、分かってるでしょ?


からかってるの?


ひどいよ…。


「っ…」


ツーと涙が頬を伝った。


告白さえさせてくれないの?


「!」


私の涙を見て先生が驚く。


さすがに泣くとまでは思ってなかったか…。


「ふっ…ふぇ…」


私のすぐ後ろのドアは閉まってて、廊下を誰かが通ったとしてもバレないだろう。


この状態じゃ、先生が泣かせたって誰もが思っちゃうね…。


いや、事実なんだけど。


私は俯いた。


もう、今すぐこの部屋から出たい。


でもまだ、先生に伝えてない。


好きって伝えるまでは…っ。


コツコツと足音を立てて先生が近づく。


もう、なんなのっ。


私がそう思った瞬間、顎をクイッと上に持っていかれ、先生と目が合った。


「な…。」


「後悔すんなよ。」


「へ?」


先生…?


「んっ…。」


突然のことで、わけがわからなかった。


先生の顔がいきなり近づいてきたかと思うと、温かく柔らかいものが唇にあたる。


一瞬、思考回路が停止した。


…なに…これ…。


私…キス、してる…?


先生と…?


な、なんでっ…。


かぁぁっと全身が熱くなる。


「ぷはっ…」


唇が離れ、先生が目を開ける。


私は足に力が入らなくなってヘナヘナと座り込んだ。


なに…?


どういうこと…?


なんで…?


わけわからない。


先生は私の目の前にしゃがみこむ。


「先生っ…」


どういうつもり?


「好きだ、あなた。」


「!!!」


な、に…?


先生が…私を…?


ウソ…。


そんなこと…絶対ないって、思ってたのに…。


今日、振られると思ってたのに…。


顔、熱すぎて鼻血でそう…。


夢じゃないよね…?


「ずっと待ってた、この日を。

あなたがオレの生徒じゃなくなる日を。」


っ…。


先生っ…。


「好き…。

大好き。

先生、私も、先生のことが好きっ…。」


私が泣きながら言うと、先生はクシャっと笑って私を抱き寄せた。


私…最高に幸せだよ、先生。

プリ小説オーディオドラマ