第28話

腕時計
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2018/01/05 14:21
「うわぁ、すご!」


「ね!

せっ…ゆーまっ…!」


まだ“先生”って呼びそうになっちゃう。


お昼ご飯を館内のレストランで食べ終わり、イルカショーを見る。


イルカ、可愛いっ!!


「ふっ、やっぱ水族館にして良かったな〜…」


先生も目を輝かせて見入ってる。


ふふっ、子供みたいでかわい〜っ。


「なぁ、これからどこ行く?」


目はショーに釘付けのまま、私に聞く先生。


「そーだね〜、もう見終わっちゃったもんね」


このショーが終わったら、帰るだけ。


「帰るにしてはまだ早いよな?

今何時?」


先生がそう聞くから私は腕時計で時間を確認した。


「3時…前っ。」


まだ3時。


まだ帰りたくない。


「あ、あなた。

その時計ってさ…。」


ドキッ。


先生が私の腕時計を指して言う。


「へ?

これ?」


なんか、デジャヴュ。


前にもこんなことあったような…。


「あなたっていっつもそれ付けてるよな。」


「う、うんっ…。

変…?」


そんなにおかしいかな?


男物だから?


やっぱ、彼氏以外からもらったもの付けてるのって、嫌だよね…。


「いや、別に。

それお気に入り?」


…質問の意図が分からない…。


「え…?

うん、まぁ。」


「そっか…。」


先生…?


なんで、そんな嬉しそうな顔してるの…?





「なぁ、さっきの話の続きなんだけど…」


水族館を出て車に戻った時、先生は言った。


「うん?」


「その時計、誰からもらった?」


あ、やっぱりそこ気になる…?


「ちゅ、中2の時に…会った男の子に…。」


「へぇ…。

その人のこと、好きだった?」


ドキッ。


な、なんでそんなこと…っ。


「う、うん…」


「ふぅん。」


ドクッ。


なんだろう、この重い雰囲気。


先生、私のこと…


「あ、あのっ、先生が嫌なら、外すからっ…!」


「へ?」


私が言うと、先生の拍子抜けした声が聞こえた。


へ?


「いや、別に嫌じゃないよ。

…むしろ、嬉しい。」


「…は?」


わけがわからないのですが。


「ふっ。

間抜けな顔。」


なっ…。


先生は一呼吸置いて言った。


「4年前、あなたに腕時計を渡した男は…オレだよ。」

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