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第2話

落下

「んー……いい景色だな」

あたしは桜の木の上で思いきり伸びをしながらそんな事を呟いた

今の時間は太陽がとっくに沈んでおり

代わりに月が顔をのぞかせている

月明かりが桜を照らし、趣のある風景が広がっている

この桜の木は誰が植えたのか

小さな丘の上に1本だけひっそりと立っている

ここはあたしのお気に入りの場所

落ち込んだ時でも、何でもない時でも

暇を見つけてはやってきて時を過ごす

ここだけが唯一、あたしが落ち着ける場所

「……」




「アイツ、また1人で何か言ってる」

「気味が悪い」

「あの子はうちの子ではない」




嫌なこと思い出したな

「…どうでもいいか」

【もし…】

「!?」

不意に顔をあげるとそこにいたのは…

「ひっ!?」

明らかに人ではないものの姿

【やはりな。お主、ワシが見えておるのだな。実に旨そうだ】

こういった存在が見えるのはいつものこと

けど、コイツはいつものとは違う

あたしを獲物としてみてる

「っ…あ……」

恐怖で身体が震えていた

こんな木の上では逃げ場などない

【ほほっ、震えておるな。安心せい。痛みを感じぬように喰ろうてやる!】

ソイツは大口を開けるとあたしに襲いかかってきた

ズルッ

「!」

バランスを崩したあたしは枝から滑り落ちた

あ、死んだ

そう直感した

生きる意味も、帰る場所もない

こんな人生などどうでもいいと思ってた

けど、望まなかったわけではない

あたしはただ、誰かに必要とされたかった

(生まれ変わったらそんな人が現れるかな)

そんな事を思いながらあたしは目を閉じた