強い痛みを感じて、あたしはこの世を去る
…はずだった
しかし、いつまで経っても痛みはやってこない
ヒュゥ……
代わりに感じるのは変な浮遊感
「…あたし、落ちてる?」
視界は黒一色
一体どこに向かってるんだろう?
その時、突然視界が開けたと思ったら…
ゴチン‼
地面ではない
誰かの頭に激突し、あたしはそのまま倒れた
「いってぇ!!!」
「え!?ちょ、何?水翔、大丈夫?」
「っ~~…じゃねえ…」
「返事出来るのなら大丈夫そうね」
「うおい!!」
「それより、こっちの子だよ。おーい、大丈夫?」
誰だろう?
てか、あたし死んだの?生きてるの?
…まあ、今はどっちでもいいか
頭がズキズキと痛むのを感じながら
あたしは意識を手放した
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目を覚ますと視界は真っ暗だった
感触から濡れたおしぼりが置かれてるのだと気づき
手にとると、木目の天井が広がっていた
「…ここは?」
まるで、田舎の家みたいだな
「あ、目が覚めた?」
声のした方を見るとさっきの女の子と男の子が
部屋の入り口に立っていた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。