未来「ん…」
夜中、不意に目が覚めた
別にトイレに行きたいわけではないのだが
何となく寝付けなくなってしまった
けど、一聖は気持ち良さそうに寝てるし
わざわざ唯風さんを起こすのも悪いし…
未来「外の景色でも眺めてよう」
あたしは静かに襖をあけ、廊下に出た
外は城下町の上に満月が見えていた
未来「…綺麗」
?「客人か?」
未来「!?」
声のした方を見るといつの間にか男の人が立っていた
男「このような時間にどうされた?」
未来「あ、えっと…ちょっと寝つけなくて…」
男「そうか。…ところで貴方は唯風殿だけでなく、一聖様ともご友人だそうだな」
未来「…ええ、まあ」
何だろう、この人
男「失礼ながら貴方のような方が一聖様と同等の地位であるとは思えない。一体どうやって取り入ったのか教えていただきたいですな」
怖い
まるで、幽霊や妖怪を見た時と同じような嫌な感じがする
思わず身構えたその時…
?「守義殿。私の友人に何か御用ですか?」
あたしの横に唯風さんが現れた
未来「唯風、さん」
男「い、いや。唯風殿のご友人だと聞いて挨拶を」
唯風「ならば、立ち去られよ。挨拶はすまされたのであろう」
唯風さんの雰囲気が少しだけ変わった
男「チッ」
守義と呼ばれた男は悔しそうに立ち去っていった
唯風「未来様、ご無事ですか?」
さっきの雰囲気は既に消えていた
未来「大丈夫です。ありがとうございました。ところで、なぜここへ?」
唯風「少し嫌な雰囲気を感じたもので。さあ、夜風に当たるのはお身体に悪いです。部屋にお戻りになった方がよろしいかと」
そうしたいのは山々なのだが…
未来「何だか、寝つけなくて…」
唯風「…なら、私でよければ話相手になりましょうか?」
未来「じゃあ、お言葉に甘えて」
そう言って案内されたのは唯風さんの部屋だった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。