第37話

やめてぇ!
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2018/01/09 12:13


一聖「…っ………ぐっ……お、父様」

一聖は目の前の光景を見まいと必死に堪えた

自分の父が人を殺したなど信じたくなかった

唯風「一聖、しっかりなさい!大名様は操られてるのです!御自分の意思で人を殺めたのではありません!」

一聖「…う、うん」

唯風は一聖を支えながら立ち上がった

唯風「随分と悪趣味なんですね。恐らく今回の一連の出来事は貴方の仕業なんでしょう、窮奇(キュウキ)?」

すると、翼のはえた大きな虎が姿を現した

【ほう、人間の分際で我に気づいたか】

唯風「ええ、貴方は私たちの敵ですからね。忘れるはずがありませんよ、その気配を」

【随分と粋がいいようだ。そちらの小娘は随分と顔色が悪いようだが?】

一聖「…っ……」

唯風「……何がいいたい」

【何も?では、見せてもらおうか。お前たち宿主の絆とやらを】

そう言って窮奇(キュウキ)は姿を消した

唯風「待て!」

大名「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

唯風「!?」

キンッ

大名が降り下ろしてきた剣を唯風は何とか受け止めた

唯風「くっ…」

キンッ キンッ

唯風は相手の剣を防ぐ事しか出来なかった

いくら操られてるとはいえ、相手は一聖のただ1人の父親

簡単に切り捨てることは出来ない

そのうえ、ここにきて反動も限界に近づき

体力はあと僅かしか残っていなかった

どうする?



























一聖「やだ…。もう、やめて…」

目の前で剣を交えているのは自分の父親と

自分が愛する大切な人

どちらかを選ぶなんて出来ない

一聖「唯風!御父様!もうやめてぇ!」

涙ながらに一聖はそう訴えた

その時一瞬、一聖の方を向いた唯風に隙が生まれた

その隙を大名は見逃さなかった

唯風「ぐっ!」

急所は外したが、唯風は左肩を深く斬られ深傷をおってしまった

一聖「!!」

その場に踞る唯風

唯風「はあ……はあ……」

体力も既に限界だった

そんな唯風に大名は歩みより、剣を降り下ろそうとした

唯風「くっ…」


唯風が…唯風が死んじゃう!!


気がついた時にはもう既に身体が動いていた

ザシュッ


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