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第1話

1話
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2017/12/27 14:00

ミーンミンミン…

忙しなく鳴き続ける蝉、ジワジワと照りつける太陽。
そんな暑さの中、チリン…と涼しげな音が微かに聞こえてくる。
私、柏木花は来週から始まる高校初めての夏休みを、どう過ごそうかと石垣の上を歩いていた。

奏多
ちょっとそこの貴方!!
そんなとこ歩いちゃ危ないでしょ!
鋭い声が下からして思わずその声の主を睨む。
私はその注意を無視し歩いた。
奏多
ちょっと聞いてるの!???
…あんた誰ですか。
奏多
私は神谷奏多です!!!!
キーンとするくらい大きな声で彼女はきっぱり言った。
奏多
貴方の名前は?学年は?クラスは??
質問多すぎだろと彼女の方をちらっと見た。彼女はどうやら同じ学校なようだ。
1年2組、柏木花。
奏多
ちょちょちょ!!!待って私も1年2組なんだけど!
彼女は嬉しそうに目を輝かせた。
奏多
私明日から学校へ行くんだ!これからよろしくね、花!
…うん。
それが彼女、神谷奏多との始まりだった。

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