第4話

*4*
219
2018/01/05 12:34
――彼は、泣いていた。
あなた

!?

ぎょっとすると、彼は涙を手の甲で拭いながら「ごめん」と笑った。
宏一
あなたは母さん思いのいい子だな
大きな手が私の頭を優しく撫でる。

私は思わず赤面してしまった。
あなた

なっ、こ、子供じゃないです!私!

宏一
おぉそうだな。まぁ、いいじゃねえか。撫でたくなったんだから
そう言って笑いかけられる。

ドキッ、と心臓が鳴った。


……『ドキッ』!?
あなた

いやいやそれはない。年の差やばい。ないない

宏一
どうした?
あなた

違います!!

宏一
お、おう……?
あ、絶対今変に思われた。最悪……。

がっくりとうなだれた時、ふと時間が気になった。スマホのロック画面で確認してみたら、そろそろ夕飯の買い物に行かなければならない時刻だった。
あなた

えっと、宏一さん……

宏一
呼び捨てでいいぞ。なんだ?
あなた

あ、はい。……あの、私そろそろ買い物しないといけないので……

宏一
おーそうなのか。――そうだ、俺明日から4時半にここいるから
あなた

え?

私は目をぱちくりさせて、隣に座る宏一の方を向いた。

4時半って、ちょうど私が死のうとした頃……。


ここで、話そうって……ことなんだろうか。
宏一
じゃあな
ニコッと笑って手を振ってくる宏一。
あなた

……失礼します

ぺこりと頭を下げ、私は公園を出た。

無意識に頬が緩んでいて、慌てて無表情を作った。

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