宏一からのメール 本文
まず最初に謝っとく。ごめんな、あなた。俺、お前にいろいろ嘘ついてた。
俺の名前、下しか教えなかっただろ。苗字、今から言うな。
秋峰。そう、お前と同じだ。
実は俺、過去からタイムスリップしたお前の父親なんだ
あなた
……え
え?
――宏一が私の、お父さん……?
宏一からのメール 本文
お前の母さん……洋子(ようこ)がお前を身ごもってから、俺は不治の病にかかった。医者にはもって半年と言われた。その日、夢を見た
私は食い入るように画面の文字を読んでいった。一つ一つの言葉を頭の中で噛み砕き、飲み込み、次を読んでいく。
宏一からのメール 本文
神様が出てきた。俺の家は代々神社の神主をやってて、だからか知らねえけど神様は言ったんだ。
「お前の娘が16の時事故に遭う。お前が望むなら、事故に遭う少し前の未来に飛ばしてやる。どうする」ってな。
ただ、娘を助けるには娘の代わりに死なないといけないらしかった。でもどうせ俺は残り少ない命だから、それなら娘のために死のうと思って「飛ばしてくれ」って頼んだ。
それで俺は未来に飛んできたんだ。
お前のことはすぐにわかったよ。高校生の時の洋子そっくりだったからな。まさか俺がタイムスリップしたせいで金銭的に苦労してて、自殺を考えてたなんて思いもしなかったけど。……ごめんな
そんなことない、と私は首を振った。
宏一が謝ることなんて一つもない。謝るのはこっちだよ……ごめん、ごめんね……。
携帯に視線を戻した時、画面に涙が落ちた。『故障』の二文字が頭をよぎり、慌てて制服の袖で拭いた。
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第12話 *12*
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少年症状 (一,二話改稿作業期間/現在1-8まで更新済み)
病(やまい) 人や動物の心や体に不調または不都合が生じた状態のことと、植物に細菌やウイルスが寄生し、腐敗や枝葉の状態が普通の状態では無くなっている状態。一般的に外傷などは含まれない。 (Wikipediaより引用) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めのチャプターの『必読』に同意して頂けた人のみご閲覧下さい。
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同窓会をきっかけに、小学五年生の頃の記憶が蘇る。…記憶の中の自分達は、神と契約してこの地にとどまる怨霊を祓っていた。なぜ突然記憶が蘇ったのか。自分達には何ができるか。謎は、紐を解くように簡単ではないのである。 ミステリー、ホラー、コメディ、トラジティ。要素は様々。あなたはどう見る? 表紙、その他イラストは私 (チャプターの数を数えています) 第一章 6年越しのプロローグ 始発 一話 不穏な同窓会 二〜十五話 記憶共有 十六〜 黒い影編 十九話〜二十八話 ロンドン橋の少女編 三十一話〜
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!