第11話

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2018/01/09 13:34
宏一からのメール 本文
まず最初に謝っとく。ごめんな、あなた。俺、お前にいろいろ嘘ついてた。
俺の名前、下しか教えなかっただろ。苗字、今から言うな。
秋峰。そう、お前と同じだ。
実は俺、過去からタイムスリップしたお前の父親なんだ
あなた

……え

え?


――宏一が私の、お父さん……?

宏一からのメール 本文
お前の母さん……洋子(ようこ)がお前を身ごもってから、俺は不治の病にかかった。医者にはもって半年と言われた。その日、夢を見た
私は食い入るように画面の文字を読んでいった。一つ一つの言葉を頭の中で噛み砕き、飲み込み、次を読んでいく。
宏一からのメール 本文
神様が出てきた。俺の家は代々神社の神主をやってて、だからか知らねえけど神様は言ったんだ。
「お前の娘が16の時事故に遭う。お前が望むなら、事故に遭う少し前の未来に飛ばしてやる。どうする」ってな。
ただ、娘を助けるには娘の代わりに死なないといけないらしかった。でもどうせ俺は残り少ない命だから、それなら娘のために死のうと思って「飛ばしてくれ」って頼んだ。
それで俺は未来に飛んできたんだ。
お前のことはすぐにわかったよ。高校生の時の洋子そっくりだったからな。まさか俺がタイムスリップしたせいで金銭的に苦労してて、自殺を考えてたなんて思いもしなかったけど。……ごめんな
そんなことない、と私は首を振った。

宏一が謝ることなんて一つもない。謝るのはこっちだよ……ごめん、ごめんね……。

携帯に視線を戻した時、画面に涙が落ちた。『故障』の二文字が頭をよぎり、慌てて制服の袖で拭いた。

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