高校に入学して3ヶ月、私の数少ない友達のうちの一人、香織は、割と近くに住んでいるため、毎日こうして私と一緒に登校している。
香織は、可愛くて、活発。私とは正反対なのに、なぜかいつも仲良くしてくれる。
「あなたー!こっちこっち!」
駅に着いてから、香織がすぐに声をかけてくれた。
「おはよ。」
「おはよ~、ねえ、今日も裕也先輩いたの!!もう、嬉しすぎで泣きそう~」
「それ、毎日言ってない?」
「だってほんとにかっこいいんだもん。」
「そう?別にそんなにかっこいいと思わないけど。」
「え~、だったら、一体どんな人ならかっこいいの?」
「さあ?かっこいいなんて思った人がいないから。」
私にとって、一番かっこよかったのは、お父さんだったし―
お父さんは、生前は毎日仕事にあけくれていた。おかげで、なかなか遊ぶことはできなかったけれど、仕事から帰ってきた後は、いつも私に1冊だけ絵本を読んでくれていた。
「…っあなたっ!」
「え!?」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。